腺リンパ腫またはワルチン腫瘍 (Adenolymphoma or Wartin tumor) |
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1:とは
腺リンパ腫(Warthin腫瘍)は 耳下腺部に好発する良性上皮性腫瘍です。
唾液腺腫瘍の2-15%を占める、比較的稀な腫瘍です。

2:原因
原因は不明とされていますが、免疫異常が関係しているとも言われています。
3:疫学
大唾液腺、特に耳下腺(下顎角に近い尾部)に好発します。
小唾液腺からの発症例は有りません。
40歳以上の男性に多いとされています。
また、圧倒的に喫煙者に多く見られます。
多発例あるいは悪化した報告はありますが、再発は少ないとされています。
4:症状
耳の下や顎の下の腫れ・しこりが認められます。
発育は極めて緩慢で、無痛性の境界明瞭な腫瘤としてみられ、周囲組織との癒着は有りません。
良性の場合は、痛み・顔面神経麻痺等の症状が無いため、ある程度大きくなって気付くことが多いようです。
悪性の場合は、腫瘍の大きくなるペースが早く、痛み・顔面神経麻痺が出現することが多いです。
なお、腫瘍が悪性の場合は、腫瘍が周囲の組織に浸潤しやすいため腫瘍が上下左右に動かないことがあります。
5:診断
テクネシウム99(99mTcO4-)唾液腺シンチグラフィーで集積像を示します。

6:治療
症状が軽い場合や腫瘍が小さい時は経過観察を行なう場合もあります。
腫瘍の大きさが大きい場合は、切除手術をおこないます。
腫瘍を摘出する治療法なら、腫瘍が転移したり再発することがありません。
予後
良性の場合は手術による腫瘍の摘出が代表的な治療法で、特殊な場合を除き、命にかかわることはありません。
一方、悪性の場合は生命を脅かす危険があります。
症例1:84歳男性
本人に明らかな自覚症状無く、家人に指摘され来院。
左耳下腺部に、60mm×60mmの腫瘤を認めました。
ワルチン腫瘍を疑い、大学病院耳鼻科に紹介しました。
MRI、超音波検査、穿刺吸引細胞診で、ワルチン腫瘍の診断がありました。

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