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鉄欠乏性貧血について


     
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 鉄欠乏性貧血(IAD:Iron DeficiencyAnemia)
  1:鉄欠乏性貧血とは
  鉄は赤血球タンパクの主要な部分を占めるヘモグロビン(Hb)の必須の成分であり、体内の鉄が欠乏すると赤血球の
  産生は低下し、貧血をきたします。
  これが鉄欠乏性貧血です。


2:鉄欠乏を起こす原因

 (1)鉄摂取の不足ないし障害
     食物中の鉄含量の不足、消化吸収異常による摂取不良があげられ,上に述べた発展途上国での鉄欠乏は、
     動物タンパク質などの鉄含量が多く、しかも吸収のよい食物の摂取不足によるものです。

 (2)鉄喪失の増加
     鉄喪失には月経による定期的な出血、とくに月経過多のほか、胃潰瘍,痔などの消化器出血、など病的な出血が
     原因となっています。

 (3)鉄需要の増大
     需要の増大には成長期や妊娠があります。


3:疫学
  鉄欠乏性貧血は貧血の中で最もよく見かけるもので、患者数の最も多い貧血です。
  とくに女性に多く;発展途上国では女性の30〜40%がこの貧血状態にあります。
  先進国でも10〜20%にこの貧血がみられるので,患者数は膨大であると推測されています。
  男性にはこの貧血は少なく、1%程度とされています。

 
4:症状
  鉄欠乏が起こるとまず貯蔵鉄が消費され、ついで血清鉄、Hbの減少が生じ、ついにはチトクロームなどの組織の
  鉄酵素までが減少します。
  このため貧血以外に舌炎、食道粘膜異常による嚥下障害(Plummer-Vinson症候群)、匙状爪などの症状が出現
  します。

 (1)貧血に伴う一般的な症状
     全身倦怠,めまい,耳鳴り,息切れ,動悸、消化器症状などがみられます。
     微熱,無力感,軽度の浮腫がみられることもまれでない.

 (2)その他の症状
     舌炎 平滑舌
     食道粘膜異常による嚥下障害(Plummer-Vinson症候群
     匙状爪

        


5:診断
 (1)血液検査
     小球性,低色素性の貧血がみられ,Hbの低下に比べ,赤血球数はそれほど減少しないのが特徴です。
     白血球数は正常ないしわずかに減少することがあり,血小板数は正常です。
     骨髄像は赤血球系細胞の増殖亢進がみられ、赤芽球は増加し,白血球系細胞と赤血球系細胞との比(L/E比)は
     低くなります。
     形態的には赤芽球の異常はないが,末梢赤血球は大小不同,小径化,淡染となります。

 (2)その他の検査成績
     血清鉄が著しく減少し、一方、総鉄結合能(TIBC)は増加します。
     この増加は慢性疾患に伴う貧血ではみられないので、血清鉄減少の場合留意すべき所見となります。
     鉄欠乏性貧血ではTIBCに占める血清鉄の比が20%以下となります。
     血清フェリチン値も低下します。
  
     以上の成績より診断は比較的容易ですが,鉄欠乏の原因が明らかでないことがあり,また出血に基づく例では
     原疾患の診断が重要になります。


6:治療
  鉄剤を投与します。
  一般に経口的に鉄剤を投与すれば十分ですが,胃潰瘍などの消化管疾患を伴っていたり、副作用により内服不能
  なときには非経口的に注射剤が用いられます。
  
  このさいには鉄は排泄が微量のため蓄積過剰症をきたしやすいので、必要量を計算式から算出して投与されます。






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