悪性貧血 (PA:Pernicious Anemia) |
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1:悪性貧血とは
胃粘膜の萎縮による内因子の低下によりビタミンB12が欠乏することで生じる貧血です。
ビタミンB12や葉酸などの造血に必須な造血ビタミンが欠乏すると、巨赤芽球性貧血が起こります。
巨赤芽球性貧血は、巨赤芽球とよばれる正常とは異なった形態の赤芽球が骨髄にみられる貧血です。
そのうちとくにビタミンB12吸収障害に基づく巨赤芽球性貧血を、悪性貧血とよんでいます。

2:悪性貧血の原因
ビタミンB12の吸収障害にあり、このビタミンの吸収に必要な胃壁細胞からの内因子分泌欠如にある.
この疾患では壁細胞や内因子に対する自己抗体の産生がみられ一種の自己免疫疾患といえる.
悪性貧血の発症には人種的要素が強く、北欧白人に多く、日本人には少ない疾患です。
葉酸欠乏は多くの原因から起こり、とくに栄養障害によることが多いとされています。
ビタミンB12は体内貯蔵量が多く、消費量が少ないため摂取量が欠乏してもすぐには貧血はきたしませんが,
葉酸は貯蔵が少ないため欠乏により容易に貧血を起こすことになります。
3:臨床症状
(1)貧血
他の貧血と同じく、息切れや易疲労感などを呈する。
白血球,血小板減少を伴い,大赤血球性貧血が認められる.
白血球では過分葉がみられ、骨髄では過形成であるが無効造血のためLDH,ビリルビンは高値となる.
(2)舌炎
舌乳頭の萎縮と発赤、舌の平滑化がみられ、しばしば舌の灼熱感、疼痛を訴えます。
悪性貧血では、Hunter舌炎と呼ばれています。

(3)神経症状
振動覚や位置覚の低下、知覚障害、深部腱反射亢進、意識障害、認知症様症状などの様々な症状を呈します。
(亜急性連合性脊髄変性症)
側索の脱髄変化に伴う知覚異常などの神経症状がみられることがある.
4:治療
悪性貧血では吸収障害が病因であるので,注射による非経口的投与を行わなければなリマ線。
また悪性貧血の場合,葉酸を投与すると血液像はします、神経症状の出現,悪化が生ずることがあるので
注意しなければなりません。
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