気分症(Mood-disorder) |
1:気分症の概念
(1)気分症とは
気分の状態が普通のレベルを超えて高揚したり落ち込んだりなどすることが一定の期間続くものをいいます。
昔でいうと、うつ病、躁うつ病と呼ばれているものです。
気分障害は,悲しみまたは高揚が過度に強く,持続的であり,悲しみまたは高揚以外にも気分障害の症状を
一定数以上伴い,かつ患者の機能を著しく障害している場合に診断されます。
この場合,強い悲しみをうつ病,強い高揚感を躁病と呼びます。
抑うつ障害群はうつ病を特徴とします。
双極性障害群はうつ病と躁病の様々な組合せを特徴とします。
2:気分症の分類
気分障害は以下のように分類されます。
A:双極性障害 (旧:躁鬱病)
B:抑うつ障害群 (旧:うつ病)

3:神経伝達物質と気分障害
気分障害が起こる原因の1つに、神経伝達物質であるセロトニンとノルアドレナリンの増減があります。
これらの神経伝達物質の増加が躁状態を、減少がうつ状態を引き起こすと考えられています。
抗うつ薬は、このセロトニンとノルアドレナリンの量を増やし、脳の活動を活発にして症状を良くしようとする
ものです。
4:気分障害における自殺
(1)自殺頻度
抑うつ障害患者における 自殺の生涯リスクは2〜15%であり、疾患の重症度に依存しています。
(2)自殺リスクが増加する状況
@治療開始時で,精神運動活動が正常に戻りつつあるが,気分はなお暗いままの場合
A躁うつ混合状態を呈している場合
B個人的に重要な記念日
C重度の不安を伴う場合
D飲酒および物質使用を伴う場合
E自殺企図(特に暴力的な方法を用いた場合)の後の数週間から数カ月間
5:気分障害のその他の合併症
気分障害のその他の合併症としては以下のものがあります。
@社会的機能,社会的交流の維持,および日常活動への参加における軽度から完全な不能に至るまでの障害
A食物摂取の障害
B重度の不安
Cアルコール依存症
Dその他の薬物依存
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参考資料 |
『メンタルクリニックでの主要な精神疾患への対応(3)統合失調症, 気分障害 』
『救急・急性期 II 気分障害・神経症性障害・PTSD・せん妄 (精神看護エクスペール) 』
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