1:運動障害(肢体不自由)とは
(1)身体障害者福祉法における定義
上肢下肢または体幹の機能に永続的な障害があり、
身体運動、動作が不自由なものを運動障害(肢体不自由)とする。
2:各種の運動障害(肢体不自由)
(1)上肢不自由
上肢の機能障害と各関節の機能障害に分かれます。
@上肢の全廃
肩関節、肘関節、手関節、手指のすべての機能が全廃したものです。
A著しい障害
上肢で5kg以内のものしか吊り下げることができないもの。
B軽度の障害
精密な運動ができないものや、10kgのものしか下げることができないものです
(2)下肢不自由
下肢の機能障害と、各関節の機能障害にわかています。
@下肢の全廃
患肢で立位を保持できない場合などをいいます。
A著しい障害
階段昇降が手すりがないとできない、1km以上の歩行が不可能な場合をいいます。

(3)体幹不自由
1級:座っていることができないもの
2級:座位または起立位を保つことが困難なものや起立することが困難なもの
3級:100m以上の歩行や片足立ちができないもの
5級:2km以上の歩行ができないもの
3:運動障害の原因
(1)障害部位による原因分類
@中枢神経系
脳性麻痺、二分脊椎、水頭症、脊髄損傷、脳血管障害など
A末梢神経系
外傷による神経麻痺、神経炎など
B骨・関節系
骨形成不全症、関節リウマチ、外傷後遺症など
C筋系
進行性筋ジストロフィ−,先天性筋ジストロフィーなど
(2)発症時期による分類
@先天的
母体への薬剤投与の副作用、デシェンヌ型筋ジストロフィ−、骨形成不全症、その他。
A周産期
脳性まひ…肢体不自由者における脳疾患を持つ者のほとんどが、脳性まひに起因します。
B後天的
1)脳疾患…ほぼ8割弱が脳疾患が原因とされます。
脳梗塞、脳出血、脳腫瘍、など。
2)四肢切断
骨肉腫 糖尿病性壊疽 脊髄損傷 閉塞性動脈硬化症による皮膚潰瘍、 など。
(3)損傷部位による分類
損傷や機能不全の性質と発生部位に応じて、次のような様々な運動障害が起こります。
@随意(意図的な)運動を制御する脳領域や、脳と脊髄の接合部の損傷
随意運動を行う筋肉の筋力低下または麻痺、反射の亢進が起こります。
A大脳基底核(脳の奥深く、大脳の底部に位置する神経細胞の集まり)の損傷
大脳基底核は、筋肉が滑らかに動けるようにしている脳の領域です。
不随意(意図しない)運動が起こったり、動きが小さくなったりしますが、筋力低下や反射異常は起こりません。
B小脳の損傷
小脳は全身の動きを調整し、腕と脚の滑らかで正確な動きを助けるとともに、バランスの維持を補助しています。
協調運動障害がみられます。

4:各種の運動障害
(1)運動減少症
動作が遅くなったり減少したりするものです。
運動減少症の代表はパーキンソン病があります。
(2)運動過多症
@運動過多症とは
自分の意思とは関係なく、体が勝手に動いてしまうがあります。
運動過多症は、不随意運動とも呼びます。
体の一部だけ(手の震えや、顔のピクツキ、足のむずむずする感じ等)の軽微なものから、全身に及ぶ重度なものまで
含まれます。
日常生活が不自由になっておられる方もいらっしゃいます。
A主な不随意運動の種類
振戦----ふるえ
舞踏運動・バリスム・アテトーゼ---踊るような、くねるような不規則な動き
ジストニア----ねじれたり、おかしな姿勢で固まるような動き
ミオクローヌス----ぴくつく動き)
チック----特定の動作を行ったり、音声を発したりするのが止められないもの。
ジスキネジア----薬剤によっておこる不随意運動の総称
5:身体障がい者の内訳
2018年(平成30年)度障害者雇用実態調査結果」(厚生労働省)
肢体不自由が42.0%を占め、次いで内部障がいが 28.1%、聴覚・言語障がいが 11.5%となっています。

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