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限局性学習障害(SLDSpecific Learning Disability)について

       
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学習障害について(SLDSpecific Learning Disability
  1:限局性学習障害
 (1)SLDとは
     基本的には全般的な知的発達に遅れはないが、聞く、話す、読む、書く、計算する又は推論する能力のうち、
     特定のものの習得と使用に著しい困難を示す様々な状態を指すものです。

 (2)呼称の違い
     DSM5では-----限局性学習障害(SLD:Specific Learning Disability)
     ICD-11では----発達性学習症  (DLD:Developmental learning disorder)

       現在のICD11は2018年に改定されました。


2:種類・分類
 (1)読字障害(ディスレクシア)
     学習障害の一種で、知的能力及び一般的な理解能力などに特に異常がないにもかかわらず、文字の読み書き学習
     著しい困難を抱える障害です。
     失読症、難読症、識字障害、(特異的)読字障害、読み書き障害、とも訳されます。

     有名人や芸能人の中にも、この障害を持った人がいるといわれているディスレクシアは、次のような状態になると
     言われています。
       文字が二重に見える
       文字が反転したり、ゆがんで見える。
       はやほなどの、似ている文字の違いが分からない
       本人が書く文字が歪になってしまう。

        

       ディスレクシアの有名人


 (2)算数障害(ディスカルキュリア)
     算数や計算に関する障害です。
     数の概念を理解することが苦手です。
     概念理解が困難なため、九九自体は暗記できても、計算に使えない、ということも起こり得ます。


 (3)書字表出障害(ディスグラフィア)
     書き取りの障害で、字を書くことの障害です。
     文字の形を適切に認識することが困難で、視覚から得る情報処理に困難を抱くことが特徴です。
     字を書く課題である、漢字の書き取りや作文を苦手とする可能性があります。

     漢字の部首を間違ったりします。
     「わ」と「は」、「お」と「を」などの同じ音を持つ字の使用に誤りが多かったりします。

     文章のルールが十分に理解できておらず、主語が抜けたり、句読点を書き忘れたり、「てにをは」の使用に誤りが
     あったりすることが考えられます。

     


3:SLDの原因
 (1)原因 
     中枢神経系に何らかの機能障害があると推定されています。
     視覚障害、聴覚障害、知的障害、情緒障害などの障害や、環境的な要因が直接の原因となるものではありません。


4:SLDの疫学
 (1)出現率  
  @学齢期:515     
     文部科学省の調査では,小.中学校では4.5位の頻度です。   
     男女比はおよそ2131の範囲で、女性より男性に多いとされています。

  A成人:約4  


 (2)併発症
     下記の病気と併発することが多いとされています。

     神経発達症----ADHD、コミュニケーション症群、発達性協調運動症、自閉スペクトラム症
     精神疾患------不安症群、抑うつ障害群双極性障害群  


5:SLDの臨床的特徴
 (1)症状
  @読字の障害
     読字の正確さ、読字の速度または流暢性が失われます。

  A書字表出の障害
     綴字の正確さ、文法と句読点の正確さ,書字表出の明確さまたは構成力が失われます。

  B算数の障害
     数の感覚、数学的事実の記憶算数の正確さまたは流暢性、数字的推論の正確さが失われます。  

  補足:社会的状況
      SLDの子は全体的な能力で劣っているのではないので高校、大学への進学もケースにより可能です。
      こうした子どもたちの人権を擁護する団体もあります。
      障害に合わせた支援があれば十分に習熟・卒業が可能なのです。


7:SLDの対応と治療
 (1)配慮
     本人が困難と感じることを際立たせてしまう条件を取り除く配慮が必要です  
     読むことが困難な場合には、指で示しながら読むイラストなどの視覚素材を用いる事を考えてください。
  
     読んでもらったものを聞いて理解するなど、個々の状況に合わせて対応する事が大事です。   
     適切に対応できれば、成人まで極端な障害をもち越すことは.それほど多くないと思われます。  


 (2)対応方法   
     出来なくても叱らない事が必要です。   
     少しでも頑張ったら思いっきり褒める事も忘れてはいけません。



限局性学習障害と歯科治療・口腔ケア
  SLDと歯科医療・口腔ケア

(1)口腔内所見  
     限局性学習症に特有の口腔症状は有りません


(2)治療・説明の際の注意点  
     視覚素材を使用する方が伝わり易くなります。  
     指差し確認などを行います。
     治療の目的や内容などの見通しが立つようにします。
     患者本人の立場に立って説明、対応していくことが必要です。



参考資料 
 
  『これでピタっと! 気づけば伸ばせる学習障害--事例から学ぶ “解決” 教えたいのは挫折ではなく生きる力


 『歯医者に聞きたい 障がいのある方の歯と口の問題と対応法


 『LDの子の読み書き支援がわかる本 (健康ライブラリーイラスト版)


 『LD(学習障害)とディスレクシア(読み書き障害)-子供たちの「学び」と「個性」


 『LD児のためのひらがな・漢字支援―個別支援に生かす書字教材


 『通常学級で役立つ 算数障害の理解と指導法―みんなをつまずかせない! すぐに使える! アイディア48






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