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摂食嚥下障害について


     
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 発達期の摂食嚥下障害             



摂食嚥下障害 (Dysphagia)
 
1:摂食嚥下障害とは
   種々の原因によって摂食・嚥下の機能が損なわれることです。
   口からの食物摂取が困難あるいは不可能となり、誤嚥性肺炎の原因となります。
   栄養摂取に経管栄養や胃瘻を必要とすることがあります。


2:摂食嚥下障害の原因
   摂食嚥下機能の障害によって発症します。

   摂食嚥下機能の障害は、発達期(おおむね18歳未満)における発達障害や、発達期以降では様々な疾病や障害、
   またはその後遺症によって起こります。
   
   摂食・嚥下障害の原因は器質的原因、機能的原因、心理的原因の3つに大別されます。

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 (1)器質的原因
   先天異常、腫瘍、炎症、外傷、加齢性変化(歯の脱落)などによって舌や咽喉頭および食道の構造そのものが傷害
   されている場合です。
   
   補足:口腔・咽頭・喉頭・食道   補足:口腔機能と神経   補足:口腔機能と筋肉

   
 (2)機能的原因
   構造物の形態に問題がなくとも、それを動かす筋肉、神経に障害がある場合です。
   頻度として多い脳卒中による障害や、頻度はやや少ないが神経変性疾患その他の神経筋疾患はここに
   含まれます。
   また先天異常でも形態異常ではなく、神経の異常あるいは筋力・筋緊張低下といった機能的な嚥下障害も
   あります。

 (3)心理的原因
   神経因性食欲不振症など摂食障害の他、認知症、うつ病などで食欲制御が傷害されている場合もここに
   含まれます。
   精神疾患を持たない人の有病率が6%であるのに対し、精神疾患患者の32%が嚥下障害を持っています
   窒息事故の割合もはるかに高い
   認知症ではしばしば食事をしたことを忘れるが、食事をしたことを忘れても食欲制御が障害されていなければ
   異常な量の摂食は困難です。
   嚥下造影検査の分析から認知症では84%の患者が何らかの嚥下障害を持っている、という報告もあります。


3:正常な摂食嚥下機能
〈1〉摂食嚥下のメカニズム
     摂食・嚥下機能は、食物を摂取するための行為・行動および解剖・生理学的なメカニズムですが、
     次の5段階で食物の摂取が可能となります。
     ここのどこかに問題が生じると、摂食嚥下障害の危険性が発生します。

       @先行期 : 認知期 行動期
       A準備期 : 捕食 食塊形成
       B口腔期
       C咽頭期
       D食道期

             


 (1)先行期=食物を認識し、過去の食経験によって消化器管活動の準備が始まります。
    @食物認知期
        視覚・嗅覚・触覚などの感覚と、過去の食経験から目前の食物の 性質(物性、味、温度など)を感知します。

    B行動期
        それに応じて口に運ぶ食物の種類や量を決定。
        同時に、運び込まれる食物の口腔内での処理方法を予測する

            


 (2)準備期
    @捕 食(Ingestion)
       1)捕食の3形態
          1.口唇による取り込み : 最も基本的な捕食。
          2.上下歯列による咬み取り切断による捕食。液体には関与しない
          3.流し込みまたは落とし込みによる捕食
       2) 実際の捕食
          上記の3形態が組合わされて捕食行動と為っている。
           この時、口唇の運動が最も重要で、これに顎の開閉運動が微妙に協調する。

    A加工処理 (Preparation)
       1) 液体の場合
           そのまま舌背に乗せられて、食塊形成の段階に移行する。

       2)固形物の場合
           下顎の咀嚼運動とそれに協調した舌・頬の運動による移動・粉砕・臼磨・唾液混合などにより
           嚥下出来る状態に処理される。

               


 (3)口腔期
   @舌による送り込み(嚥下第1相)
     口蓋前方部に接している舌先部から、舌の上方への運動が始まり、舌と口蓋の接触が後方に向かって
     連続した波動のように広がっていく。

   A移行相
     舌による食塊の咽頭への送り込み(嚥下第1相)と、嚥下反射によって始まる咽頭相の開始の間に存在する
     相で、2つのパターンが存在する。

          


 (4)咽頭期
    咽頭期=嚥下反射による嚥下関連筋群の協調運動により、中咽頭から 食道入口部に送り込まれるまでの、
    1秒以内(0.5秒位)の時期。
    狭義には嚥下反射を指す。
     食道期と同様に、咽頭期における課程は不随意運動であり、 延髄網様態の嚥下中枢を中心に制御される。

          


 (5)食道期=食道入口部から胃に至るまでの時期。   
     食道期における課程は不随意運動であり、延髄網様体の嚥下中枢を中心に制御される。

          


 (補足)構音機能
   言語機能は以下の3つによって構成されます。  
      中枢での情報処理---主に大脳の機能で制御されます。   
      発声---------------呼吸、声帯機能の機能が大きく関与します。   
      構音---------------軟口蓋、舌、口唇、頬、歯の強調作用で音が作られます。 

      子音の分類:パ・タ・ラ・カ
          これらの構音状況で傷害されている部位が分かります。  
          両唇音(b、p、m)・唇歯音(f、v)    舌歯音(d、t)    舌口蓋音(g、k)       

             


〈2〉摂食嚥下中枢
    摂食嚥下機能は中枢の支配を受けています。

      摂食中枢----視床下部
      引水中枢----視床下部

      嚥下中枢----延髄
      嘔吐中枢----延髄


4:診査・検査・診断
    
   詳細は、「摂食・嚥下障害の診査・検査・診断」


5:治療
   詳細は、「摂食・嚥下障害の治療、訓練」





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