お口大全 (お口の機能と病気と口腔ケア)  All the Oral-functions and Care
mail:info@aofc-ydc.com

オゾンとオゾン生成器について


   

トップページ お口の働き お口の病気 摂食嚥下障害  お口から入る病気  口腔ケア 
           
感染予防対策  消毒・滅菌  ワクチン   感染症の検査   感染対策器材  災害時の感染対策  


オゾンについて
  1:オゾン
 (1)オゾンとは
     3つの酸素原子からなる酸素の同素体です。
     分子式はOでフッ素に次ぐ強力な酸化作用があります。   
     殺菌やウイルスの不活化、脱臭・脱色、有機物の除去などに用いられます。

          


 (2)オゾンの発生と消失  
   @オゾンの発生    
      空気中での紫外線照射、または酸素中での無声放電など高いエネルギーを持つ電子と酸素分子の衝突によって
      発生します。   
      日本およびアメリカ合衆国では、食品添加物として認可されています。  

   Aオゾンの消失
      空気中---12時間で半減します。
      水中-----30分で半減します。


 (3)オゾンの性質
   @オゾンの特徴
      常温・常圧では薄青色の気体です。
      沸点=−111.9 ℃ 、紺色の液体。  
      凝固点=-197.2 ℃ (75.95 K) で濃紫色の固体です。

   Aオゾン酸化
      オゾン酸化によって、有機化合物の炭素-炭素二重結合を酸化切断する作用の事です。
      これによって、殺菌、脱臭、漂白などの作用を発揮します。
      オゾンはフッ素に次ぐ強い酸化力を持つため高濃度では毒性が有ります。

        


   B自然界のオゾン
      自然界にもオゾンは存在しています

      オゾン層---10ppm (オゾン層=上空20km〜50kmの成層圏に存在するオゾンの多い層)
      地表-------0.006ppm
      日本における作業環境基準は0.1ppmです。

        


   Cオゾンの利点
     1)残留毒性がありません。
         オゾンは酸素(O2)に比べると非常に不安定な化合物のため、時間が経過するとともに徐々に酸素へと
         変化していきます。
         このように作用した後に物質そのものや気体が残ることがないので、安心して殺菌・脱臭・洗浄が
         できます。

     2)ほとんどの材質で使用できます。
         オゾンは、木材や布など、ほとんどの材質のものでその効果を得ることができます。
         しかし、天然ゴムや布地など材質によっては、その強力な酸化力で劣化や脱色することがありますので
         注意が必要です。
           
     3)隅々まで殺菌できます。
         オゾンは気体なので、部屋の隅々まで均一に殺菌・脱臭をすることができます。
         また、その後も酸素へと変化していくだけなので、後に何かが残っているといった危険性はありません。

     4)低ランニングコストです
         オゾンは酸素が原料なので、薬剤の購入や保管が不要です。
         オゾン生成にかかる費用は電気代だけです。
         また、法定の管理資格や環境測定などが不要なので、低ランニングコストです

        


   Dオゾンの注意点
      高濃度のオゾンには、酸化作用が強いため、弊害が生じ莉危険性もあります。
      高濃度のオゾンを長時間吸い込むと内臓が酸化されてびらん状になります。
      原則、人が居る場所では使用しません。
      しかし、低濃度の場合は人が居る場所でも使用出来ます。
      その毒性により、高度な濃度管理が求められます。

      

2:オゾンの利用法 
   オゾンは、オゾン水として利用する事や、オゾンを散布して殺菌・消臭等を行う場合があります。

 (1)水道水の殺菌
     塩素消毒の代わりにオゾンが用いられる国家も多く有ります。  
     オゾンは有機塩素化合物を生成しないため、処理後の水にも残留しません。  
     塩素と比較して味や匂いの変化が少ないという利点もあります。  
     従って、いくつかのシステムでは、配管での細菌増殖を防ぐために少量のオゾンを添加することがあります。  
     
     日本では、東京都水道局、大阪市水道局、阪神水道企業団、等で水道水の高度浄水処理において、
     殺菌の一環として用いられています。


 (2)オゾン水による消毒
     オゾンガスをミキシング又はバブリングと呼ばれる手法で水に溶け込ませたり、電気分解により水に含まれる
     酸素を利用して作るオゾン水として活用される例が増えています。  
       
     オゾンの不安定な性質により数十分で酸素と水に戻るので残留性のない殺菌水として使えます。  
     塩素系殺菌剤やエタノール系殺菌剤が使えない場合にも使用されます。  
     細菌の細胞を直接破壊・分解するため、耐性菌を生まない利点もあります。


 (3)脱臭効果
     強力な脱臭効果があります。
     家畜の臭い、腐敗物の臭い、死臭などを消すのに使われています。
     室内に生ゴミを放置して、その後にオゾンを燻蒸すると、オゾンの効果が実感できます。


 (4)食品の殺菌
     日本では食品添加物として認められています。
     水道水を電解し陽極にできたオゾン水によってオゾンの濃度を高めることで殺菌を行います。
     使用後の洗浄が不必要で、安全性が高く食品の味を損ねにくく、という点が特徴的である

     アメリカ合衆国では、1997年に食品の殺菌剤として安全性に問題がないGRAS(一般安全認定)に分類され、
     FDAが2001年に食品添加物として安全であると発表しています。     


 (5)農業での利用
     農薬の代わりとして、病害対策に用いられています。
     オゾン水噴霧することで多くの病害菌を殺菌できるため、農作物に残留しない病害防除として利用されています。
     収穫時にも収穫した農産物の殺菌に利用できる。
     キュウリのうどんこ病などの病害対策ができるため、農薬の低減が期待される。
     大麦・人参の発芽率の向上、カイワレダイコン、ハツカダイコン、トマトの生育促進効果も確認されています。


 (6)畜産
     畜産においては、消臭・殺菌に用いられています。
     畜舎にオゾンガスを噴霧することで硫黄系の臭気を分解することができます。

     従来は殺菌力があまり高くなかったが、平均5000 nmであった気泡径を5 nmにすることで、サルモネラ菌や
     鳥インフルエンザウイルスなどへの殺菌効果が見られます。


 (7)漂白
     越後地方などでは春先の晴天時に雪の広がる田畑に糸や布を広げて漂白する雪晒しが行われます。
     雪晒しは雪の表面に紫外線が当たって発生するオゾンの作用を利用したものです。


 (8)洗浄
     半導体部品の洗浄において、主流のRCA洗浄ではアンモニアや塩酸フッ化物が用いられます。
     オゾンガスを溶解させたオゾン水は、排水処理の面で環境負荷が低く、代替として半導体の基板表面の有機物や
     金属の除去・洗浄に用いられています。

     また、水を使わずに(あるいはあまり使わずに)オゾン気流によって除菌や洗濯を行う洗濯機の例があります。
     その後継機種では風呂の残り湯を使用する際、オゾンで除菌・浄化したり、オゾン水そのものを洗濯の
     すすぎに利用するものもあります。
     ジーンズを着古した風合いにするオゾン加工にも使われています。


オゾンの使用方法
  1:オゾン水として使用する方法
 (1)オゾン水とは
     オゾン水とは、オゾン(O3)を水に溶解させたものです。
     水中では、オゾンよりも強力な酸化剤であるOHラジカルが生成され、様々な酸化作用を引き起こします。

     オゾン(O3)は不安定な分子であるため、オゾンの状態で長時間存在することができず、酸素原子(O)を1個
     放出して酸素分子(O2)に戻ろうとする性質を持っています。
     
     自己分解された酸素原子が水中の水分子(H?O)から水素原子(H)を奪うことにより、OHラジカルの生成が
     起きます。
     OHラジカルは電子が不足した不安定な状態であるため、自身が安定するために近くの有機物から電子を
     奪い取ります。

     また、反応性が高く、強力な酸化力を持っているため、電子を奪われた有機物は結合を分解されます。

     この作用により、殺菌・脱臭・漂白などの効果が得られます。

        
          日科ミクロン株式会社 HP から引用


 (2)オゾン水の作用原理
   @オゾン水による殺菌作用
      細菌では、細胞壁や細胞膜の破壊・分解により、細胞内の成分が漏出する溶菌を起こします。
      これで細菌は破壊され、死滅します。
      
      ウイルスでは、オゾンが脂質二重膜(エンベローブ)、RNAを攻撃し不活性化されます。

          


   Aオゾン水濃度除菌効果
      ほとんどの病原性細菌は、1ppm程度のオゾンガス濃度で除菌できると推測されています。
   
      0.5?1.0ppm----大腸菌(E.coli)、乳酸菌(Lactobacillus)
      1.0?5.0ppm----黄色ブドウ球菌(Staphylococcus)、サルモネラ(Salmonella)、Bacillus族細菌芽胞、
                 Clostridium属細菌芽胞、青かび(Penicillium)
      5.0-10ppm-----黒カビ(Aspergillus)、Bacillus族細菌芽胞、Clostridium属細菌芽胞


 (3)オゾン水の生成
   @低電圧電解式
      水中で電気の力を利用し、電解させオゾン水を作る方法です。
      簡単に高濃度のオゾン水が作れることがメリットです。
      オゾンバスターは、こちらの低電圧電解式となり、最大5ppmの高濃度オゾン水を作れます。

          オゾン水生成器  オゾンバスター  家庭用・業務 最大オゾン濃度5ppm

   Aバブリング式
      気体のオゾンを放出するオゾン発生器を利用して行う方法です。
      オゾン発生器の中には専用チューブが付属し、オゾン水も生成できるモデルがあります。
      このようなオゾン発生器では、付属のチューブなどを用い、気体のオゾンを水の中にブクブクと放出して
      オゾン水を作ることができます。
      オゾンは溶解度が低いので、オゾン発生器のオゾン発生量に関係なく、1ppm程度の濃度が限界です。
      
      バブリング式は気体のオゾンを無理やり水の中に放出しているため、水に溶け込むことができなかったオゾンが
      水から出てきてしまうという点です。
      そのため、バブリング式でオゾン水を作る場合は、換気を行いながらオゾン水を作ること芽必要になります。

          オゾン発生器 オースリークリア2 家庭用・業務用  オゾン発生量300mg/hr  車 部屋 消臭


 (4)オゾン水の濃度測定方法
     オゾン水の濃度は、1ppm以上が必要と言われています。
     オゾン水はの中のオゾンは半減期が短い(30分)ので、濃度の測定も必要になります。

          共立理化学研究所 パックテスト WAK-O3 オゾン


2:空間に使用する場合
 (1)オゾンの空間使用
     オゾンは高濃度になると、生体への悪影響が懸念されます。
     オゾンを空間利用するときには、人が居なくなった時に使用するのが最も安全で効果的な方法と言えます。
     仕事が終わった後、タイマー付きの機械を用いて室内の除菌をすれば安全であると思われます。
     空気中での半減期は12時間とされていますので、12時間以内に使用する場合は、換気を行うことで、
     残留オゾンは速やかに消失されます。


 (2)オゾンの生成
     紫外線ランプから放射される紫外線波長185nmを空気(酸素)に照射することで、オゾンを人工的に作り出す
     ことが可能です。

         


 (3)オゾンによる除菌とCT値 (株式会社 カルモア HPから引用
   @CT 値 ( Concentration-Time Value )
      オゾンなどの物質が菌やウイルスを不活化する(増殖できなくする)力を表すときの評価指標で、
      オゾン濃度(ppm)と曝露時間(min)の積から算出されます。
      CT値が高いほど除菌の効果が高くなります。
      たとえばCT値60ではインフルエンザのウイルスもほぼ100%死滅させることができます。
      CT値60とは、オゾン濃度が6ppmで10分間の除菌を行ったときの数値です。

      定められたCT値と、同一のCT値となるようにオゾンを燻蒸することで、除菌・ウイルス除去の効果が
      得られます。

 

      オゾン発生器を使って除菌・ウイルス除去を実施する際は、このCT値に基づいてオゾン発生器を運転する
      時間(オゾン燻蒸時間)を定めます。


   A運転時間(オゾン燻蒸時間)の計算方法
      オゾン理論濃度(ppm)※1 = オゾン発生量(mg/h) ÷ 室内容積(?) ÷ 2.14 ※2

      理論濃度での運転時間(分) = CT値  ÷ オゾン理論濃度(ppm)       

      実際の運転時間目安(分) = 理論濃度での運転時間(分) × 2 〜3※3
 
      ※1 オゾン理論濃度(ppm)は、1時間運転後の室内における目安の値です。
      ※2 定数“2.14”は、オゾンの分子量(48)を標準状態における体積(22.4 L)で割った値です。
      ※3 オゾン発生から理論濃度に達するまで室内環境によって一定の時間を要するため、実際では理論値
         の2〜3倍ほど長く運転する必要があります。


   B各種微生物とCT値とその不活性率
      新型インフルエンザ(H1N1)は、CT値が18で、100%不活性化出来ます。
      臭い物質である硫化水素は、CT値が28で、100%脱臭する事が出来ます。

            ウイルス・細菌 CT値
(ppm×min)
死滅率/減少率
(%)
@ 一般細菌 大腸菌 60 99.99
A Staphylococcus pyogenes(化膿レンサ球菌) 60 100
B Staphylococcus aureus IFO 12732(化膿レンサ球菌) 24 100
C 黄色ブドウ球菌 N20 60 99.98
D 黄色ブドウ球菌 RN2677 60 99.98
E 新型インフルエンザ( H1N1) 18 99.7
F 新型インフルエンザ( H5N1) (強毒性鳥インフルエンザ) 60 100
G Norovirus(ノロウイルス) 72 100
H Bacillus cereus IFO 13494(セレウス菌) 24 100
I Vibrio parahaemolyticus IFO 12711 (腸炎ビブリオ菌) 24 100
J Salmonella typhimurium IFO 14193(サルモネラ菌) 24 100
K 硫化水素 28 100
  太陽工業株式会社 HP から引用

  表の各項の検証機関は以下のとおりです。
    @ACD…昭和薬科大学微生物研究室
    E…北里大学ウイルス科
    F…厚生労働省及び消防庁
    G…ビジョンバイオ株式会社
    BHI…財団法人日本食品分析センター
    J…岡山工業技術センター
    K…和歌山市消防本部


   B運転時間の例
      10畳(16.5m、高さ2.5mの部屋に、5000mg/hのオゾン発生器を使用した場合

      オゾン理論濃度(ppm)= 5000÷(16.5×2.5)÷ 2.14=56.65(ppm) 

      理論濃度での運転時間(分) = 60  ÷ 56.65(ppm) =1.05分      

      実際の運転時間目安(分) = 1.05×3=約3分      


   C5000mg/hのオゾン発生器を使用した場合の稼働時間の目安
      ミニバンの車内なら、30秒。
      8畳の部屋なら、2分30秒。
      256畳(約100坪)の部屋なら、80分。

         
        ジェネテック合同会社 5000mg/h オゾン発生器 OzoneTechnologies


 (4)オゾンの濃度測定方法
   @紫外線吸収法
      容器にオゾンガスを注入して紫外線を当て、オゾンに吸収された量と透過した量からオゾン濃度を測定します。

   A半導体薄膜式
      半導体の薄膜表面に接触したオゾンの分解率によって、オゾン濃度を計測します。

   B定電位電解法
      電極の気体透過エリアをオゾンが通過したときの電流で、オゾン濃度を測定します。

   C検知管法
      ガラス管に試料を密閉してオゾンを加え、試料の変色した長さで濃度を測定します。

        

補足:新型コロナウイルスとオゾンによる不活化について
 (1)藤田医科大学 2020/8/26
     湿度80%では、日本の作業環境基準であるオゾンガス0.1ppm処理でもCT60(10時間後)で4.6%までウイルス
     の感染性が低減。
     より厳しいアメリカ食品医薬品局の基準であるオゾンガス0.05ppm処理で5.7%までウイルスの感染性が減少。 
     湿度が55%では、オゾンガスによる除染効果が減弱するが、オゾンガス0.1ppm処理では、CT24(4時間後)で
     53%まで感染性が半減。
     
     詳細は、「藤田医科大学 HP」 へ


 (2)奈良県立医科大学 2020/5/14
     オゾンによる新型コロナウイルス不活化確認    

     詳細は、「奈良県立医科医科大学 HP」 へ


 (3)株式会社カイコーポレーション 
     人が居る環境下での空間除菌(燻蒸)は推奨されない。
     オゾンを空間に供給してもCT値が小さい場合は不活化効果は小さくなります。

        

     オゾン濃度を高くし短時間で処理したほうが不活化効果が断然高いことが一目瞭然です。

        


     詳細は、「株式会社カイコーポレーション HP」 へ


 (まとめ)
     色々な見解があるようですが、今までの意見をまとめると以下になる様です。

     1;オゾン水は新型コロナウイルスの不活化効果があり、極めて有用。
     2;人が居る環境でのオゾンの空間散布は推奨されない。
     3;低濃度のオゾン散布は効果が低い。
     4;人が居ない環境下での使用は、CT値で60以上が望ましい。


オゾン発生器
 
1:オゾン水生成器
    さらなる詳細は、「オゾン生成器」へ


2:オゾン生成器     さらなる詳細は、「オゾン生成器」へ


3:オゾン濃度の測定  さらなる詳細は、「オゾン生成器」へ



参考資料
 

第3回寝具類洗濯専門部会 - 厚生労働省

株式会社 カルモア HP

太陽工業株式会社 HP

日科ミクロン株式会社 HP

株式会社カイコーポレーション HP






 お口大全TOPへ

copyrightc 2021 YDC all rights reserved


mail:mail:info@aofc-ydc.com





22-0205