1:医療用ゴーグルとは
(1)医療用ゴーグルの目的
血液、唾液などの湿性生体物質の飛沫から医療従事者の眼を守ります。
しかし、顔面の他の部位への跳ね返りや飛び散りに対する防護能はありません。
フェイスシールドの方が防護機能は高いとも言えますが、ゴーグルには機能性と手軽さという利点もあります。
またレーザー光線の使用時に有効なゴーグルもあります。
(2)眼の防護が必要な場合
@飛沫粒子が広範囲に飛散する可能性が大きい場合
手術時(マイクロ手術以外)
創部洗浄
口腔処置・口腔ケア時
気管内吸引(開放式)
気管内視鏡
気管内挿管 および抜管時、など。
A医療器具操作時に内容物が飛び出したり、跳ね返ったりして曝露される可能性がある場合
加圧下での血液含有装置の操作時
血管穿刺( 透析・アンギオなど)
大量の液体状、泥状の湿性ディスポ吸引器の処理時
検体容器の取扱い時
静脈チューブ・バッグ類・ポンプ取扱い時
栄養・ベンチレーターチューブの取扱い時
2:分類
(1)目的による分類
@感染予防
医療、介護の現場で飛沫粒子が広範囲に飛散する可能性が大きい場合
Aレーザ保護メガネ
医療現場でレーザー光線が使用される場合もあります。
レーザー光は、熱作用と集光作用により、網膜や角膜に損傷を引き起こし、最悪の場合、失明してしまう危険性が
あります。
その危険性から眼を守るのが、レーザー光線専用の保護めがね(ゴーグル)です。
レーザーの種類、波長に適したレーザー保護メガネを選択します。
波長が適していないと重大な事故に繋がります。

1)光学濃度(OD値:Optical Density)とは
光の透過量は透過率%で表示されます。
レーザ光の様な特定波長は、吸収が多いほど(透過率%が限りなくゼロに近い)、目には安全です。
それらを分かり易く表示したものが光学濃度(OD値)です。
光学濃度は吸収度合を対数で表示したものです。

OD値が5の場合、透過するレーザ光量は入射するレーザ光量に対して105分の1になります。
OD値が高ければ高いほど安全性が高くなると言えます。
|
OD値 |
入射光量に対する透過光量 |
透過率 |
|
|
|
|
|
0 |
0 |
100% |
|
1 |
1/10 |
10% |
|
2 |
1/100 |
1% |
|
3 |
1/1000 |
0.1% |
|
4 |
1/10000 |
0.01% |
|
5 |
1/100000 |
0.001% |
|
6 |
1/1000000 |
0.0001% |
|
7 |
1/10000000 |
000001% |
(2)構造による分類
@ 保護めがねタイプ
下方、側面からの汚染に弱い構造です。
装着感に優れています。
通気性がよく曇りにくい利点があります。

A ゴーグルタイプ
粘膜全体を完全に密閉できます。
曇りやすく、視野が狭くなります。
重く装着感に劣ります。

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