ヘルパンギーナ (Herpangina) |
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1:ヘルパンギーナとは
コクサッキーウイルスの一種が原因となって起こるウイルス性疾患です。
手足口病、プール熱と同様、夏季を中心に乳児や幼児に流行する、いわゆる夏かぜの代表的な疾患です。
2:感染様式
(1)感染経路
感染者の鼻や咽頭からの分泌物、便などによる糞口感染、接触感染と飛沫感染です。
(2)潜伏期間
潜伏期は2-4日程度です。
ウイルス排泄が盛んな急性期の感染力が最も強く、回復後も2-4週間にわたり便から検出されます。
3:疫学
(1)感染の季節性
熱帯では一年中、温帯では夏と秋に流行します。
日本では5-9月頃にみられ、7月がピークとなります。
例年、西から東へと推移します。
(2)好発年齢
感染者の年齢は5歳以下が9割以上で、1歳代がもっとも多い。
4:症状
(1)初期症状
突然の高熱と咽頭痛があります。
(2)症状の推移
その後、咽頭粘膜が赤くなり、口腔に1-5mmの小水疱が数個出現します。
小水疱が破れて潰瘍になると痛みます。
熱は1-3日間程度続き、粘膜疹はそれよりも長引きます。
口の中が痛むことから不機嫌、拒食、哺乳障害が起きやすいですが、ほとんどは予後良好です。
発熱時に熱性痙攣を伴うことがあり、まれに無菌性髄膜炎、急性心筋炎などを合併することがあります。
症例がより多い手足口病とは、発熱が39〜40℃の高熱となり、発疹が口腔に限られる点が異なります。

5:診断
手足口病との鑑別が必要な場合もあります。
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手足口病 |
ヘルパンギーナ |
ウイルス |
コクサッキーウイルス |
コクサッキーウイルス |
発熱 |
37〜38℃
発熱しないこともあります。 |
39〜40℃の高熱 |
発疹 |
口の中に発疹。
手や足などに発疹がでます。 |
口の中に発疹。
手や足に発疹は出ません。 |
5:治療
特効薬など特異的な治療法はなく、対症療法によって症状を緩和させます。
拒食や哺乳障害による脱水症状を警戒します。
無菌性髄膜炎や心筋炎の合併例では入院治療が必要となります。
6:予防のポイント
予防接種はありません。
予防には、手洗い、咳エチケットが有効です。
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ヘルパンギーナと口腔ケア |
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1:対症療法
(1)食べ物の工夫
痛みで食べられないことがあります。
その場合でも、脱水症状を警戒し、水分補給は怠らないにします。
(2)口腔内の保清
小水疱が破れると、そこから他の細菌が感染することもあります。
乾燥すると感染し易くすなります。
(3)痛みに対する対応
痛みが強い場合には、症状に応じて鎮痛薬を内服する事もあります。
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参考資料 |
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