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消毒・滅菌について


     
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消毒・滅菌 (Disinfection and Sterilization)
  はじめに:
   滅菌と消毒

      
     『病気がみえる vol.6 免疫・膠原病・感染症』  医療情報科学研究所 から引用


1:滅菌
 (1)滅菌(Sterilization)とは
     病原性、非病原性を問わず、全ての微生物・構造物を死滅させることです。
     オートクレーブ滅菌、ガス滅菌など、主に器具が対象となります。
     現在の一番標準的な、器具の滅菌手段です。

     耐性:     芽胞形成菌---結核菌・ウイルス---糸状真菌---一般細菌・酵母様真菌   

        
      株式会社 健栄製薬 HP から引用


 (2)滅菌の方法と器材
  @オートクレーブ滅菌(高圧蒸気滅菌)
     高圧下では沸点が上昇し、100℃を大きく超える温度でも水分を保持させたまま物体を加熱することが可能です。
     内部を高圧力にすることが可能な耐圧性の装置や容器、あるいはその装置を用いて行うです。
     耐熱性の芽胞形成菌を含め、すべての微生物を比較的短時間で確実に殺滅することができます。
     その効果は加熱を受ける温度と時間によって変化します。.  

     温度 121〜124℃  2気圧   滅菌時間 15分間  
     温度 126〜129℃  2気圧    滅菌時間 10分間  
     温度 134〜135℃   2気圧      滅菌時間 810分間  

        芽胞形成菌にも有効


  Aプラズマ滅菌器
     過酸化水素のガスと高周波発生装置を組み合わせて低温プラズマを発生させ、プラズマ中に生じたフリーラジカル
     の作用により、細菌などの微生物を死滅させる装置のことです。
     機器はやや高価となります。

     高い殺菌効率を持つことに加え、短時間で工程を完了できるメリットがあります。
     55℃未満の低温で滅菌ができるので、ゴムやプラスチック、剪刀類などの熱に弱い器材も滅菌可能です。
     工程後は水となることから安全性にも優れています。

     本体の設置には給水や排水といった設備が不要であり、電源の供給によりただちに使用することができます。
     高圧・高温蒸気などで滅菌できない物であっても、プラズマ滅菌器は適用することができます。

     


  Bガス滅菌
     高圧蒸気などの熱に耐えない被滅菌物の滅菌法です。
     ランニングコストが高いという欠点があります。

     酸化エチレンガス法(EOG法)
       酸化エチレンガスの殺滅作用は、生体を構成する蛋白質のアルキル化を起こし不活化させます。
       その沸点は12.5℃で、非常に高い爆発性、引火性を有しています。
       通常は引火性を下げる目的で炭酸ガスやフレオン等の不活性ガスと混合して使用されています。  

       


  C低温蒸気ホルムアルデヒド滅菌 (LTSF:ドLow Temperature Steam Formaldehyde()
     ホルムアルデヒド蒸気を被滅菌物に曝露させることで、タンパク質を凝固させ細胞を不活化します。
     欠点は滅菌剤自体に毒性があるということですが、毒性物質の残留は無いとされています。
     ホルムアルデヒドガスは一番厄介な芽胞菌まで死滅させる殺菌力を持っています。
     内視鏡などの精密機械の滅菌に多様されています。

     


2:消毒
 (1)消毒(Disinfection)
     病原体を死滅させることを消毒といいます。
     アルコールなどの薬液や、オゾンなどを発生させる器具を用いて、ヒトや器具が対象となります。
     薬剤による消毒、紫外線、オゾンによる消毒方法があります。


 (2)消毒薬の強さによる分類
     万能な消毒薬は有りませんので、目的に合わせて使い分ける必要が有ります。
     対象の微生物の耐性強度で使い分けます。
     また、人体に使用するのか、器材に使用するのかでも使い分けが必要となります。

     詳細は、「消毒薬」へ
 
     


 (3)紫外線
  @紫外線の殺菌効果
     紫外線は波長が10〜400 nm、即ち可視光線より短く、軟X線より長い不可視光線電磁波です。
     紫外線はDNA等の核酸に優先的に吸収され、微生物細胞内のDNAの鎖を変化させ死滅させます。

     

     
     従来、日光が強い殺菌力を持っていることは古くから知られていました。
     これは太陽光線中の紫外線の作用によるものです。

     紫外線の殺菌力は、特に260nm付近のものが最も強く、直射日光に含まれる350nm付近の紫外線の
     約1600倍に達します。
     これは細菌などのDNAが260nm付近の紫外線を良く吸収することを意味します。

        


  A紫外線殺菌の利点
     有害な副生成物を作りません。
     薬剤の輸送、貯蔵、注入などの管理が不要です。
     設備が比較的簡単で低コスですト。

  B紫外線殺菌の欠点
     残留性を必要とする分野(例えば水道)では単独で使用できません。
     水に吸収されて減衰しやすいので届く距離に限界があります。
     従って、大量の水を殺菌することができません
     人体には日焼け等の影響があるため、人がいる時には使用できません。
     光の影となる部分は殺菌できません
     ゴム、プラスティック類の劣化を来たしてしまいます。

  C紫外線殺菌器
     現在使用されている殺菌灯からは253.7nmの波長の紫外線が多く出ており、バクテリア、カビ、藻類、その他の
     微生物を短時間で死滅させる能力を持っています。

     器材の消毒

        


 (4)オゾン
  @オゾンとは
     3つの酸素原子からなる酸素の同素体です。
     分子式はOでフッ素に次ぐ強力な酸化作用があります。   
     殺菌やウイルスの不活化、脱臭・脱色、有機物の除去などに用いられます。

     


  Aオゾンの発生   
     空気中での紫外線照射、または酸素中での無声放電など高いエネルギーを持つ電子と酸素分子の衝突によって
     発生します。   
     日本およびアメリカ合衆国では、食品添加物として認可されています。  

       


  Bオゾンの性質
     常温常圧では薄青色の気体です。
     沸点=111.9 ℃  紺色の液体  凝固点=-197.2 ℃ (75.95 K) で濃紫色の固体です。
     オゾンはフッ素に次ぐ強い酸化力を持つため高濃度では毒性が有ります。
     吸い込むと内臓が酸化されてびらん状になります。
     その毒性により高度な濃度管理が求められます。
     日本における作業環境基準は0.1ppmです。


       
                            共立理化学研究所 パックテスト WAK-O3 オゾン


  Cオゾンの利用法
   1)水道水の殺菌
      殺菌・脱臭、水道水の殺菌  塩素消毒の代わりにオゾンが用いられる国家も多く有ります。  
      オゾンは有機塩素化合物を生成しないため、処理後の水にも残留しません。  
      塩素と比較して味や匂いの変化が少ない。  
      従って、いくつかのシステムでは、配管での細菌増殖を防ぐために少量のオゾンを添加することがある。  
      日本では、東京都水道局、大阪市水道局、阪神水道企業団、等で水道水の高度浄水処理において、
      殺菌の一環として用いられている.

   2)オゾン水
      オゾンガスをミキシング又はバブリングと呼ばれる手法で水に溶け込ませたり、電気分解により水に含まれる
      酸素を利用して作るオゾン水として活用される例が増えています。  
      オゾンの不安定な性質により数十分で酸素と水に戻るので残留性のない殺菌水として使えます。  
      塩素系殺菌剤やエタノール系殺菌剤が使えない場合にも使用されます。  
      細菌の細胞を直接破壊・分解するため、耐性菌を生まない利点もあります。

   3)脱臭効果

   その他の詳細は、「オゾンと発生器」、「オゾン発生器の選択」 へ


 (5)次亜塩素酸について

   詳細は、「次亜塩素酸水発生器」へ



参考資料
 
   『病気がみえる vol.6 免疫・膠原病・感染症』  医療情報科学研究所  



   『消毒と滅菌のガイドライン 2020年版』



   『シチュエーションに応じた消毒薬の選び方・使い方』



   『国際標準の感染予防対策 滅菌・消毒・洗浄ハンドブック』



   インフェクションコントロール 2021年9月号(30巻9)特集:新型コロナウイルスにも対応!
            3択チェックテストつき ICTが知っておくべき洗浄・消毒・滅菌のポイント




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