乳頭腫 (Papilloma) |
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1:乳頭腫とは
良性の上皮性腫瘍で、粘膜表面に乳頭状に発育した腫瘍性増殖をいいます。
皮膚、尿路、消化管粘膜、喉頭などの上皮組織の表面に、乳頭状,絨毛状ないし花キャベツ状に突出しています。
そのため外傷や感染を受けやすい。
本来は、扁平上皮腫というべきところであるが、乳頭腫が慣用されています。

2:原因
さまざまな慢性刺激による反応性増殖物で真性の腫瘍は比較的少ないとされています。
明らかな原因は不明ですが、ヒトパピローマウイルスが関与していると言われています。
3:好発部位
舌、口蓋、口唇、歯肉に好発します
4:症状
形状は乳頭状、疣贅状、カリフラワー状ですが、乳頭状が最も多く、次いで疣贅状、カリフラワー状などがあります。
大きさは2〜3mmから雀卵大以上までさまざまです。
境界はおおむね明瞭で、上皮の角化が著しいものでは白色を呈することもあります。
多くは単発性ですが、時に多発することもあります。
5:鑑別診断
やや白色を呈することがありますので、白板症や扁平苔癬との鑑別が必要です。
6:治療
悪性腫瘍との鑑別を行いながら、一般的には切除になります。
症例

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パピローマウイルス感染症と口腔ケア |
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乳幼児の口腔咽頭乳頭腫
尖圭コンジローム罹患者が産道出産した場合、新生児のノド(咽頭)に乳頭腫を、まれに発症することがあります。
尖圭コンジロームのHPVが、出産時に乳児の咽頭に播種します。
乳児の咽頭粘膜は、物理的にも免疫的にも脆弱であり、HPV感染のターゲットになりやすい部位です。
もし感染が成立した場合は、1〜3歳くらいまでゆっくりと咽頭のイボ(乳頭腫)は成長し、幼児期に声がれやノドの狭窄症状認めるようになります。
母体外陰部に尖圭コンジロームを認める場合は、慎重な出産管理が必要になります。
口腔ケアを行うことでヒトパピローマウイルス感染を減少させる
ヒトパピローマウイルスは、正常な口腔粘膜でも検出されます。
日本における口腔領域のヒトパピローマウイルスの感染率を調べた結果、37.9%のヒトに感染が認められるという報告もあります。
また、アジア諸国の調査では、モンゴルにおいても同様に33.1%のヒトに感染がみられました。
これらの感染で最も多い型は16型(高リスク群)でした。
ヒトパピローマウイルス感染に関連した粘膜疾患の予防に口腔ケアが有効な一つの方法であることが考えらています。
「ヒトパピローマウイルス(HPV)と口腔疾患」 前田初彦 ラジオ NIKKEI 2008 年から引用
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参考資料 |
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「パピローマウイルスと口腔粘膜病変」 佐藤方信 岩医大歯誌 12:113−122,1987
「ヒトパピローマウイルス(HPV)と口腔疾患」 前田初彦 ラジオ NIKKEI 2008 年
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