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帯状疱疹について

     
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帯状疱疹 (Herpes Zoster)
1:帯状疱疹とは
片側性に神経痛様疼痛、多数の紅暈(水疱や膿疱などの周囲に発生する紅斑)を有する小水疱が帯状に生じる病気です。   
水痘帯状疱疹ウイルスVZVの回帰発症による感染症です。   
小児期に水痘に罹患すると、ウイルスが神経細胞に潜伏感染を続け、免疫能低下時に帯状疱疹として回帰発症します。  

         


2:疫学
 (1)好発
     水痘の既往がある高齢者に好発します。   
     加齢や、HIV感染、疲労・ストレスなどによる免疫能低下により発症します。

 (2)発症部位:身体の片側にだけ発症します。
     脳脊髄神経の支配領域にみられ、胸部、頸部、三叉神経の順に多いようです。
     三叉神経の支配領域における発生頻度は、
        第1枝(眼神経)--------約40%
        第2枝(上顎神経)------約25%
        第3枝(下顎神経)------約20%

        第1枝と第2枝、第2枝と第3枝の合併例も10%前後観察されています。

        


3:帯状疱疹の症状
 (1)主要症状  
     数日〜10日間ほど神経痛のような痛みが発生します。  
     その後、身体の左右どちらか一方の神経に沿って(片側)、帯状に赤い発疹が出現するのが特徴です。

 (2)播種性帯状疱疹発疹  
     全身性にみられる播種性帯状疱疹では、感染力が非常に強く、患者の個室管理が必要になります。

 (3)Ramsay Hunt(ラムゼイハント)症候群  
     顔面神経で、VZVの再活性化により顔面神経麻痺を主徴とする症候群です。

     主要徴候
       顔面筋の神経麻痺---口笛不能 、閉眼不可(麻痺性兎眼))、眼瞼下垂
       外耳症状---外耳道、耳介の発疹、
       内耳障害---感音性難聴、めまい

         

        『病気がみえる vol.6 免疫・膠原病・感染症 第6版』  2020 メディックメディアから引用

 
 (4)帯状疱疹後神経痛  
     帯状疱疹の発疹が治った後、ウイルスの攻撃によって神経に傷跡が残ってしまい、痛みだけが長い間残ることが
     あります。        


4:帯状疱疹の経過    
 帯状疱疹は、何らかの原因(疲労、ストレス、等)で免疫力が低下したときに発症します。
 発症は片側性で、激しい痛みを伴う小水疱の帯状集積蔟が見られます。
 50歳以上では帯状疱疹後神経痛が残る事があります。

     

      『病気がみえる vol.6 免疫・膠原病・感染症 第6版』  2020 メディックメディアから引用


5:治療
 (1)薬剤  
     通常の鎮痛薬は無効です。
     抗ヘルペスウイルス薬の投与をできるだけ早期から開始します。  
        ビダラビン(アラセナ-A、カサールクリーム)   
        イドクスウリジン(IDU点眼液) 


 (2)神経ブロック  
     硬膜外麻酔という、神経の周りに局所麻酔を直接注射する治療を行います。  


症例
   17歳男性 
      図1は初期、図2は数日後 図3は治癒後です。
      治癒後も、痛みと瘢痕が残っています。

           





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