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薬剤性歯肉増殖症について

     
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薬剤性歯肉増殖症 (Drug-induced Gingival  Hyperplasia)

薬剤性歯肉増殖症とは 
 ある種の薬剤の服用が誘因となって歯肉の増殖を来す疾患。
 ヒダントイン歯肉増殖症が有名で、これは抗てんかん剤(diphenyl hydantoin)を連用したことによって起こる歯肉の
 増殖症をいいます。
 別名でPhenytoin(フェニトイン)、Dilantin(ダイランチン)、Aleviatin(アレベアチン)歯肉増殖症ともいいます。


原因
 発症機序
    歯肉増殖症の病理発生機序は明らかではありません。
    しかし、薬剤の連用による歯肉に現れる最初の変化は、歯肉縁の毛細血管の拡張です。
    これに次いで薬剤が直接的に歯肉線維芽細胞の増殖をもたらします。
    その後、線維芽再細胞の増殖低下とともにコラーゲンを含む結合繊基質の産生が起こります。
    また本症は、歯肉に炎症が存在しなければ薬剤を投与しても発生しないことが実験的にまた臨床的にも認められて
    おります。
    従って、歯肉炎の原因である歯垢の存在が歯肉増殖の誘因として重要な役割をなしていると考えられています。

 誘因となる薬剤
  @ヒダントイン
     ヒダントインの連用に伴う慢性の副作用として神経障害、造血障害、葉酸代謝障害、免疫系への障害、催奇形性
     などが知られています。
     口腔領域の副作用としては歯肉が特異的に増殖します。
  Aカルシウム拮抗剤
  B免疫抑制剤

 

臨床症状
 症状

   早期に症状を現すものは、投薬2週間ごろから歯肉の圧痛と歯肉縁および歯間乳頭からの発赤が生じます。
   次いで小さな柔らかい肉芽が、歯肉縁および歯間乳頭部から盛り上がって、次第に増殖傾向を示します。
   増殖が進行すると腫瘤傾向を示し、増大部の歯肉の色や硬度は正常歯肉と変わらないものが多いです。
   このように歯肉の増殖は、歯間乳頭部を中心に
   起こるため、歯肉は分葉状あるいは多結節状の肥大様相を示します。
   増殖が高度の場合には、歯冠をほとんど覆い隠すこともあります。

   歯肉増殖が明瞭となるのは、一般的には薬物投与開始後2〜3ヶ月で、変化は1年ごろで最高に達します。
   なお、歯肉増殖部には潰瘍、圧痛、発赤、排膿
   などの炎症症状はないことが多いです。
   しかし、歯肉増殖の結果として、仮性ポケットが深く形成されるために不潔となり、二次的に慢性歯肉炎が加わることが
   あります。
   歯槽骨の吸収は歯周症、一般の肥大性歯肉炎のそれに比較して経度です。

 発生頻度および好発部位

   ヒダントイン連用患者の歯肉増殖症の発言頻度50ー60%で、性差はありません。
   好発年齢は1019歳です。
   発現部位については前歯部から変化が生じ、臼歯部に及ぶことが多いです。
   歯牙のない部位には症状がありません。


症例
 症例1:ヒダントイン歯肉増殖症
    






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