白板症とは
WHOの定義による白板症の診断基準は、「臨床的ならびに組織学的に他の疾患に分類されない白斑または白板」とされています。
臨床的特徴
性別
女性よりも男性に多く、男性は女性の約2倍前後との報告が多い様です。
好発年齢
好発年齢は50、60歳代とされていますが、20歳代から80歳代まで広く分布しています。
好発部位 インドや欧米では頬粘膜に最も多いとされています。 しかし、下顎に最も多いとするものもあります(USA)。 なお、本邦では下顎歯肉が28.5%と多く、ついで舌25.0%、頬粘膜24.3%、上顎、口底、硬口蓋、口唇の順でした。 このように、白板症の好発部位が報告者により異なる理由については人種や口腔の習慣、特に喫煙との関連が指摘されていますが、白板症の病因が必ずしも明らかでない現在、好発部位の理由を説明することはできません。
臨床像と臨床分類
隆起の有無から平坦型と隆起型に分類し、さらに色の変化から前者を白斑型と紅斑混合型に、後者を軽度隆起の丘型と、高度隆起の疣型の4 型に細分類されています。
平坦型−白斑型 紅斑混合型 隆起型−丘型 疣型
病理組織学的特徴
白板症の組織学的な特徴については、角化の亢進(過正角化症、過錯角化症)や細胞層の肥厚が見られ、上皮は全体に厚くなることが多いです。 時々上皮脚は肥厚、延長し、なかには逆に上皮突起が萎縮し、基底層が平坦になることもあります。
また一部の症例では悪性潜在能と大きく関連する上皮性異形成が見られるものもあります。 上皮性異形成の有無ならびに程度についての診断基準については、WHOの前癌病変に関する調査委員会からの報告がありますが、病理学者の間でもこの判定は困難な場合も多いです。
治療法
古くから多くの方法が試みられていますが、根治的治療法としては外科的処置があげられます。
悪性化
一般的には6-10%とされています。
しかし、白板症の悪性化は当然のことながら、報告者により異なります。
これまでの白板症の悪性化は5%以下とする論文もありますが、最近Silvermanらは257例白板症中45例、17.5%の高い悪性化率を報告しております。
このように悪性化率が大きく異なる理由については必ずしも明らかではありません。
Silvermanらは悪性化率が高い理由として観察期間が長いことをあげており、白板症の長期観察が重要であると述べています。
しかし長期観察例はSilvermanら以外にもあり、悪性化率はこれより低く、説明がつかないところもあります。
悪性化に関与する因子について
口腔の習慣、すなわち喫煙、口腔衛生状態などが考えられます。
喫煙に関しては喫煙者の白板症は喫煙しない者に比べ悪性化率が低いとされています。
疫学的調査によれば喫煙者は非喫煙者に比べ癌発生率が高いのは周知の事実とされていますが、喫煙者の白板症が非喫煙者の白板症に比べ癌発生率が高い理由は不明です。
症例
症例1:一見カンジダ症にも見えますが、拭いても剥離できない白板症。
症例2:すでに悪性化していた症例
症例3:組織検査では良性の診断。長期の経過を見ています。

症例4:

症例5:

症例6:

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