お口の怪我について |
1:口の怪我(ケガ)について
ボクシングや空手など、打撃系の格闘技選手の多くはマウス・ピースを入れて競技に臨みます。
これは、歯で唇、頬、舌のケガを防ぐためです。
口には歯という硬組織と、口唇、頬、舌という軟組織が共存するため、少しのケガでも流血という事態が生じます。
しかも血管が豊富であるため、比較的多くの出血を起こします。
ここでは、口をケガしたときの簡単な対処法をお示し致します。
2:口のケガの対処方法
交通事故などで口とその周囲から大量に出血をきたしている場合は、すぐ救急車を要請する必要があります。
しかし、転倒や殴打で口の周りをケガした場合、意識があって、大量とまではいかない出血の場合には、
以下の事を進めて下さい。
(1)意識の確認
口の周りのケガの場合、頭を打っている事も良くあります。
ですから、先ずは意識の確認をして下さい。

(鼻血も出て、頭部への影響が懸念されるケースです)
意識障害がある場合には、まずはそちらが優先になりますので、ためらわずに救急要請をして下さい。
参考:意識障害については、「バイタルサイン」、へ
(2)頭部外傷の確認
意識障害が無い場合でも、次の事を確認して下さい。
@頭痛、吐き気、嘔吐の確認
頭部に何らかの外傷がある場合にはこれらの症状が出る事があります。
A顔面顔面周囲の筋肉の動き
1)目の動き-------あなたの人差し指を見させて、それを追わせて下さい。
2)目の開閉-------目を閉じらせたり、開かせたりさせてみて下さい。
3)口の開閉-------口を開け閉めさせてみて下さい。
4)舌の運動-------舌を出させて、左右に振らせて下さい。
5)発声・会話------何か言葉を話させて下さい。
6)頸の旋回-------頸を左右にゆっくりと振らせて下さい。
7)手を握らせる----あなたの指を握らせて、握力をみて下さい。
8)足首を動かす---足首を動かせてみて下さい。

これらは、簡単な脳神経の働きを見るための方法です。
これらに特に問題が無ければ、先ずは頭部の方は緊急を要する処置は無いと考えても良いでしょう。
参考資料:『ベッドサイドの神経の診かた』 改訂18版 南山堂
B腹部外傷
お腹を打っている事もあります。
お腹の痛みも確認して下さい。
C手足のケガ
手足の痛みを聞いて、ケガの確認をしておいて下さい。
(2)出血の確認
先ずは血が出ている場所を指で押さえて下さい。
ほとんどの出血は、確実に出血部位を圧迫すれば止まります。
出血が弱まったら、どこから、どの様な出血なのかを確かめて下さい。
(3)噛み合わせ(咬合)の確認
歯の脱臼、変位・転位、顎の骨の骨折が有ると、噛み合わせに変化が生じます。
1)口の開き方----開口量、開口時の痛みなどを確認して下さい。
2)咬み合わせ---かみ合わない場合は、骨折が疑われます。
右側 左側
左は咬んでいるのに、右は咬んでいません。
噛み合わせを見るだけで、左側が折れているのが分かります。
3:お口の中、周囲の様々な怪我
詳細は、以下をご覧下さい。
軟組織の損傷
顔面周囲の軟組織、すなわち、歯肉、口唇、舌、頬粘膜、口蓋粘膜、顔面皮膚の損傷。
軟組織の外傷: 口唇の外傷 舌の外傷
歯牙の損傷
歯牙破折 歯牙脱臼
顎骨骨折
歯槽骨骨折 下顎骨骨折 上顎骨骨折
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