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骨格異常を主徴とする症候群について


    
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骨格異常を主徴とする症候群 ( Syndrome)

 T:骨形成不全症候群 (osteogenesis imper-fecta)

 U:軟骨無形成症 (achondro plasia)

 V:鎖骨頭蓋異骨症 (cleidocranial dysostosis)---既出


T:骨形成不全症候群 (osteogenesis imper-fecta)
1:概念
(1)特徴   
    コラーゲンの成熟異常による症候群です。   
    骨格、靭帯、皮膚、強膜、象牙質の異常を特徴とし、骨粗鬆症、易骨折性、進行性の骨変形、を主症状とします。

(2)歴史   
    病態の記載は紀元前までさかのぼることができる症候群です。   
    臨床像も非常に多様で完全に分類できませんが、系統疾患国際分類ではIV型に分類していいます。

(3)原因遺伝子と遺伝形式
    T、 U、W型とV型の一部はI型コラーゲンCOLIA1またはCOLIA2遺伝子の変異によります。
     遺伝子変異の部位は一定でなく,数百種類の変異が報告されています。
    IV型(V型は一部)は常染色体優性遺伝です。
    V型(一部)は常染色体劣性遺伝です。


2:疫学
(1)出生頻度
    2万〜25千人に1人.。
    I型が最も多い.


3:骨形成不全症候群の症候・症状
(1)全身的特徴   
    全型で一貫して骨脆弱性を認めるが,程度はさまざまです。   
    T型、Z型およびV型の一部で青色強膜があります。  
    T型に成人期難聴.   
    U型に周産期致死性.   
    V型に過剰な仮骨形成と前腕骨間膜石灰化.   
    Y型に脊椎圧迫骨折近位肢節短縮、などがあります。  

(2)合併症  
     関節弛緩性,腱の断裂や心大血管の異常などがあります。


 
4:骨形成不全症候群と歯科医療
(1)歯科的特徴   
    I型の一部(IB),、W型の一部(WB型) に 歯の外套象牙質不全がみられます。     
    この場合,歯冠はオパール様の黄褐色半透明の色調を呈し、エナメル質が剥離しやすい.   
    歯髄腔の狭窄や消失,短い歯根,歯頚部の狭窄.   
    上顎骨劣成長や下顎過成長による反対咬合などがあります。

     『スペシャルニーズデンティストリー障害者歯科 第2版』 から引用

(2)歯科的対応   
    易骨折性や四肢、脊柱や胸郭の変形があります。   
    姿勢変換や移乗時の衝撃を最小限にする必要があります。   
    歯の形成不全には、餓蝕予防処置が重要です。    


U:軟骨無形成症 (achondro plasia)
1:概念
(1)特徴   
    軟骨細胞の成長抑制による内軟骨性骨化の障害によります。   
    低身長,四肢の短縮や特徴的な顔貌などを特徴とします。

(2)歴史   
    古代エジプト時代の肖像にもみられる、昔からよく知られた疾患です。   
    以前は軟骨形成不全症や軟骨異栄養症と呼ばれていました。 
    軟骨無形成症は、四肢の短い低身長症のすべてに用いられたこともありました。   
    現在では診断基準により他の骨系統疾患と鑑別されます。

(3)原因遺伝子と遺伝形式   
    4番染色体(4p16.3)にある線維芽細胞増殖因子受容体3FGFR3遺伝子の変異による.   
    98%以上がFGFR3G380R点変異(380番目のグリシンがアルギニンに置換される変異)です。 
    常染色体優性遺伝です。
    約80%は突然変異によるとされます。


2:疫学
(1)出生頻度   
    1.7万〜2.8万人に1人。


3:軟骨無形成症の症候・症状
(1)全身的特徴   
    長管骨短縮による四肢短縮型低身長があり、手足(上腕骨,大腿骨)が短い特徴があります。   
    身長は男性で130cm女性で120cm程度となります。   
    関節弛緩(肘関節は伸展制限)があります。   
    O脚などの下肢変形腰椎前簿増強と、瞥部の後方突出がみられます。   

     『スペシャルニーズデンティストリー障害者歯科 第2版』 から引用

    栂指、示指と中指,薬指と小指に分かれてみえる三尖手がみられます。   
    これは特徴的顔貌がある同じ骨系統疾患である軟骨低形成症ではみられません。    
    (頭蓋底や顔面骨の内軟骨性骨化の障害による目立つ前額部頭部の突出、鼻根部の陥凹や顔面中部後退)

     

(2)合併症   
    乳幼児期の呼吸障害,痙性麻揮.水頭症や突然死。   
    幼児期と学童期の中耳炎や鼻炎成人期の肥満、下肢痛や間歇性破行などがあります。   
    (しばらく歩くと足に痛みやしびれを生じ.少し休むとまた歩けるようになる症状)


4: 軟骨無形成症と歯科医療
(1)歯科的特徴   
    上顎歯列弓の狭窄叢生、高口蓋、反対咬合。   
    歯の先天欠如,萌出遅延および形態異常などがあります。   
    口呼吸や睡眠時無呼吸を伴うことが多い.

     『スペシャルニーズデンティストリー障害者歯科 第2版』 から引用

(2)歯科的対応   
    歯列不正,睡眠時無呼吸への対応を行います。


V:鎖骨頭蓋異骨症 (cleidocranial dysostosis)

詳細は、「骨格異常を主徴とする症候群について---鎖骨頭蓋異骨症」へ



参考資料







    




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