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レジオネラ感染症について

       
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レジオネラ感染症 (legionnaires' disease or legionellosis)
  1:レジオネラ感染症とは
 (1)レジオネラ菌    
     レジオネラ属菌は2〜5μm位の好気性グラム陰性の桿菌で、一本以上の鞭毛を持っています。
     河川、土壌に生息し、空調設備の冷却水中や、加湿器などの水場で増殖します。  
     これが散布されて集団感染します。  
     ヒトーヒト感染は有りません。

       


 (2)レジオネラ症
     レジオネラ・ニューモフィラ(Legionella pneumophila)を代表とするレジオネラ属菌による細菌感染症です。
     その病型は劇症型の肺炎一過性のポンティアック熱があります。


2:感染様式
 (1)感染経路
     レジオネラ属菌は本来土壌などの自然環境中の細菌です。
     しかし冷却塔、給湯系、渦流浴などの人工環境に、アメーバを宿主として増殖しています。
     空気感染はしません
     しかし、レジオネラ菌を含んだ水しぶきや霧を吸入すると感染します。

  @エアロゾル感染
     レジオネラ属菌に汚染されたエアロゾルを吸入することによって感染します。
     代表的なエアロゾル感染源としては、冷却塔水、加湿器や循環式浴槽などが報告されています。

        
     「神奈川県衛生研究所」 HPから引用

     エアコンや加湿器の中で水を利用する際に発生する微小な水滴(エアロゾル)が発生します。
     これを介して、増殖した菌が空気中に浮遊します。
     人間がそれを吸入して感染します。
     人から人への感染は有りません。

     


  A吸引・誤嚥
     エアロゾル感染以外に、温泉浴槽内や河川で溺れた際に汚染された水を吸引・誤嚥したことによる感染事例が
     報告されています。

  B土壌からの感染
     レジオネラ属菌が汚染された腐葉土の粉じんを吸い込んだことが原因と推定される感染事例が報告されています。


 (2)潜伏期間
     潜伏期は通常2〜10日です。


3:疫学
 (1)発生数
     7月に多く発生し、しばしば旅行と関連してみられます。

      厚労省2016年調査


 (2)好発
     中高年の人が感染し易いと言われています。。
     温泉、循環式風呂など水場への暴露がある人は要注意です。

     
      『病気がみえる vol.6  免疫・膠原病・感染症』 から引用


 (3)感染症法
     感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律によって4類感染症に指定されています。
     全数報告対象(4類感染症)であり、診断した医師は直ちに最寄りの保健所に届け出なければならない。


4:症状
 (1)レジオネラ肺炎
     2−10日の潜伏期間を経て高熱、咳、頭痛、筋肉痛、悪寒などの症状が起こります。
     進行すると呼吸困難を発し胸の痛み、下痢、意識障害等を併発する場合もあります。

     まれですが、心筋炎などの肺以外の症状が起こることもあります。
     また、意識レベルの低下、幻覚、手足が震えるなどの中枢神経系の症状や、下痢がみられるのもレジオネラ肺炎
     の特徴とされています。
     死亡率は15%−30%とかなり高く注意を要します。

     
     『病気がみえる vol.6  免疫・膠原病・感染症』 から引用


 (2)ポンティアック熱
     多量のレジオネラを吸い込んだときに生じる一過性の発熱です。
     潜伏期間は1〜2日で、全身の倦怠感、頭痛、咳などの症状を経て、多くは数日で回復します。


5:検査・診断
 (1)浴槽水などのレジオネラ検査
  @検査方法
     浴槽水に行われる通常の塩素処理ではバイオフィルム内のレジオネラを除去しきれません。
     日常的にバイオフィルムの除去を行うことが大切です。
     その効果を確認するための検査が有ります。

       

  A検査基準
     浴槽水・原湯--------------------10個(cfu)/100ml未満
     冷却塔水・クーリングタワー水-----100個(cfu)/100ml未満
     水景施設(噴水、親水施設など)---100個(cfu)/100ml未満


 (2)感染者の検査
    培養、尿中レジオネラ抗原検査、遺伝子検査(LAMP法)や血液中の抗体検査などを用いて検査ができます。

  @培養検査

  A尿中レジオネラ抗原検査
     レジオネラ・ニューモフィラ血清群1の尿中抗原の市販キットによる検出は、特異性が高く簡便迅速なためよく
     普及しています。

  B血清抗体価
     早期の診断には向いていないが、尿中抗原陰性事例やポンティアック熱の診断に有効です。
     抗体価測定のためのマイクロプレート凝集反応用の菌抗原が市販されています。

6:治療
 (1)レジオネラ肺炎
     レジオネラ属菌による細菌感染症なので、マクロライド系、ニューキノロン系やリファンピシン等の抗菌薬で治療すること
     ができます。


 (2)ポンティアック熱
     自然に軽快することが多く、抗菌薬なしでも数日以内に改善します。


7:予防
 (1)加湿器などからの感染を防ぐ方法
    超音波振動などの加湿器を使用するときには、毎日水を入れ替えて容器を洗浄する方が推奨されます。
    レジオネラ属菌は60℃では5分間で殺菌されています。
    水を加熱して蒸気を発生させるタイプの加湿器は感染源となる可能性は低いとされています。


 (2)循環式浴槽(追い炊き機能付き風呂・24 時間風呂など)を備え付けている場合
    レジオネラ症を予防するため、浴槽内に汚れやバイオフィルム(生物膜。細菌で形成されるぬめり)が生じないよう
    定期的に洗浄等を行うなど、維持管理が必要です。
    汚れやぬめりを落として、レジオネラ属菌が増殖しやすい環境をなくすことが大切です。


 (3)レジオネラ属菌に対するワクチン
     現在のところ、予防できるワクチンはありません



口腔ケア
 


レジオネラ検査キット 
 
  アズワン レジオネラ属菌自主検査キット(レジオサーチ) 検査キット 10回分/1-7294-11


  芝本商店 レジオネラ属菌検査キット HER-LG



参考資料
 
  『病気がみえる vol.6  免疫・膠原病・感染症』  


 『レジデント2018年8月 Vol.11No.8 特集:Choosing Wiselyで考える感染症診療〜検査編



   
  22-3-28



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