お口大全 (お口の機能と病気と口腔ケア)  All the Oral-functions and Care
mail:info@aofc-ydc.com

C型肝炎ウイルス感染症ついて

     

トップページ お口の働き お口の病気 摂食嚥下障害  お口から入る病気  口腔ケア 
           
感染予防対策  消毒・滅菌  ワクチン   感染症の検査   感染対策器材  災害時の感染対策  


C型肝炎ウイルス感染症 (HCV:Hepatitis B Virus infection)
  1:HBV感染症
 (1)HCVとは    
  @C型肝炎ウイルス
     直径35〜65nmの球状粒子で、血液を介して感染するウイルスです。
     最も一般的な感染様式は、少量の血液と接触することによるものです。
     これは、(薬物)注射の使用、安全性に欠ける注射手技や医療処置、スクリーニング検査していない血液や血液製剤
     の輸血などで起こります。
     C型肝炎ウイルス(HCV)は急性感染も慢性感染も引き起こします。
     
          

  AHCVの遺伝子型
     HCVは塩基配列の類似性から1〜6の6種類の遺伝子型と多数の亜型に分類れます。
     日本・欧米では1型が多いとされています。
     遺伝子型によりインターフェロン(IFN)治療を含む抗ウイルス療法への反応性が異なります。
     インターフェロン治療の有効性は1、4型で低く、2型で高い傾向があります。

     遺伝子型(genotype)
       1a型 1b型 1c型 2a型 2b型 2c型 3a型 3b型 4型 5a型 6b型

     血清型(serotype)---特異抗原に対する抗体によって以下に分類されます。
       1群(Group1):主に1a型 1b型 1c型
       2群(Group2):主に2a型 2b型 2c型

     


 (2)C型肝炎
     急性HCV感染症は、通常は症状がなく(もし、発現したとしても)命にかかわる病態を引き起こすことは極めて稀です。
     約15〜45%の感染者では、治療を受けなくても感染後6か月以内に自然にウイルスが排除されます。

     残る60〜80%の感染者は、慢性HCV感染症へと進展します。
     慢性HCV感染患者の中では、20年以内に肝硬変に至るリスクが15〜30%になります。

      HCV抗体は中和抗体ではないので、抗体が出来ても治りません


2:感染様式
 (1)感染経路
  @血液感染    
     C型肝炎ウイルスは血液を介して感染するウイルスです。

     現在は針刺し事故や、鍼、ピアス、入れ墨(刺青)、覚醒剤注射の回し打ちなどが主な感染経路です。
     カミソリの共用、歯ブラシの取り違え、コンタクトスポーツでも血液や唾液の付着による感染リスクがあります。
     スクリーニング検査されていない血液および血液製剤の輸血、など。 

  A性的接触
     B型肝炎と異なり、性行為ではほとんど感染しませんが、皆無ではありません。

  B垂直感染
     母子感染でも伝播する可能性があります。
     しかし、これらの感染経路はそれほど一般的ではありません。 
 
  *補足
     母乳、食物、水によって拡がることはなく、感染者との抱擁、キス、食べ物や飲み物を共にするなどの日常的な接触
     でも拡がりません。

     


 (2)潜伏期間
     C型肝炎の潜伏期間は2週間から6か月間です。


3:疫学
 (1)感染者数
     日本のHCV感染者数は約200万人、世界では1億7千万人(世界人口の3パーセント近く)がキャリアであると
     見られています。


4:症状
 (1)初期症状
     2〜14週間の潜伏期間を経て急性肝炎を起こすことがありますが比較的まれです。
     最初の感染の後、感染者のおよそ80%では症状が全く現れません
     
     感染者の急性症状では、発熱、易疲労感、食欲低下、吐き気、嘔吐、腹痛、暗色尿、灰白色便、関節痛
     黄疸(皮膚や眼球結膜の黄染)がみられることがあります。


 (2)慢性化
     60〜80%の人ではウイルスが自然に排除されることなく、慢性化し、慢性肝炎になると言われています。


 (3)肝硬変から肝癌への進行
     慢性肝炎の患者さんのうち、30〜40%の方が約20年の経過で肝硬変に進行します。
     さらに肝硬変の患者さんでは、年率約7%の頻度で肝がんが合併すると言われています。
     肝がん患者の60%がHCV感染者であり、年間約3万人が肝がんにより亡くなっています。


 (まとめ)
     感染→60〜80%が慢性肝炎→30〜40%が約20年の経過で肝硬変→年率約7%の頻度で肝癌発症

     


5:診断
 (1)C型急性肝炎
  @HCV抗体検査
     HCV抗体は陽転するまで約2〜3か月かかり、初診時に測定しても陰性のことがあります。
     初診時と、1〜2か月後の2回の測定で診断する.

     既感染でもHCV抗体は陽性を示すので、必ずHCV-RNAを測定します。
     HCV-RNAは感染後数日で陽性となります。
     特に抗体価が低く、肝機能が正常の場合は既感染であることが多い。

      

  A血液検査
   1)AST ALT
     現在の肝臓の炎症の程度をみるのがAST(GOT)値やALT(GPT)値です。
     高値が持続していると肝臓の炎症が強く、肝炎が進行しやすいと言えますが、 低くても病気が進行していない
     わけではありません。
     
   2)アルブミン値 プロトロンビン活性値
     肝炎の進行度、すなわち慢性肝炎から肝硬変へどの程度進行しているかを把握することが非常に重要です。
     これには肝臓でつくられるアルブミンや、血液を固まらせる働きをもつプロトロンビン活性値などを参考にして
     総合的に判定します。

   3)血小板数
     また、肝臓病の進行や線維化で少なくなることが知られている血小板数を測定します。
     肝硬変が進むと門脈圧が更新し、血流は脾臓の方へ流れます。
     脾臓では血小板が破壊されるので、血小板数が減少します。

     


 (2)C型慢性肝炎
     C型急性肝炎は、ALT(アラニンアミノ基転移酵素)が変化をみせると慢性化しやすいといわれています。
     診断には肝生検が必要ですが、侵襲的ね検査です。
     よって、経過を追って6ヵ月以上続く肝機能異常の原因がC型慢性肝炎とします。


6:治療
 (1)抗ウイルス薬
     抗ウイルス薬はC型肝炎患者の95%以上を完治させることができます。
     そして、肝がんや肝硬変による死亡リスクを下げることができます。

  @直接作用型抗ウイルス剤 (DAADirect Acting Antivirals)  
     エルバスビル (商品名=エレルサ錠50mg  
     グラゾプレビル(商品名=グラジナ錠50mg


 (2)肝庇護療法
     抗ウイルス療法以外に、ALT値の正常化を計る目的で、以下が用いられていた。

     グリチルリチン
     ウルソデオキシコール酸[10]
     肝臓加水水解物
     小柴胡湯(漢方薬)
       IFNとの併用は間質性肺炎のリスクが高まるとのことで併用禁忌薬にされています。



7:予防
 (1)衛生管理
  @消毒等
     手洗いなどの感染対策
     塩素剤、ホルマリンなどによる消毒   
     
  A針刺し事故の防止
     針刺し事故では、血液を絞り出しつつ速やかに傷口を流水で洗い流します。


 (2)ワクチン
     C型肝炎に対するワクチンはありません。


C型肝炎ウイルス感染症と口腔ケア
  易出血性と口腔ケア
肝炎が慢性化し、さらに肝硬変が進んでいる場合には、血液凝固因子のげんしょうや、血症バンスの減少も起こって居るかもしれません。
その場合、口腔ケアだけでも歯肉からの出血が止まりにくくなっていることもあります。
万が一に備え、止血が出来る準備も必要となります。



C型肝炎の検査キット
 
 B型肝炎・C型肝炎検査キット


 さくら検査研究所 性感染症検査キット 血液検査 4項目 男性用



参考資料
 
  『病気がみえる vol.6 免疫・膠原病・感染症』  


 『肝炎のすべてがわかる本 C型肝炎・B型肝炎・NASHの最新治療 』


 『図解でわかる肝臓病 徹底対策シリーズ


 『Newton C型肝炎治療の最前線


 『特集:最適治療を目指すなら押さえておきたい C型肝炎の治療戦略


 『C型肝炎・肝がん―名医の言葉で病気を治す


 『生命科学のためのウイルス学―感染と宿主応答のしくみ,医療への応用


 『医科ウイルス学


 『新しいウイルス入門 (ブルーバックス)








 お口大全TOPへ

copyrightc 2021 YDC all rights reserved


mail:mail:info@aofc-ydc.com
 22-0415