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お口大全 (お口の機能と病気と口腔ケア) |
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サル痘ついて
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サル痘 (Monkeypox) |
1:サル痘とは
(1)サル痘ウイルスとは
原因ウイルスはポックスウイルス科のサル痘ウイルスで、感染細胞の細胞質で増殖します。
オルソポックスウイルス属には、サル痘ウイルス、痘そうウイルス(天然痘ウイルス)、ワクチニアウイルス(種痘に
用いられるウイルス)、牛痘ウイルス等が含まれます。
遺伝物質として二本鎖DNAを持つ巨大なエンベロープウイルスです。
ウイルスの形態はレンガ状で、その長径は300nmを超える巨大なウイルスです。

(2)サル痘とは
サル痘ウイルス感染による急性発疹性疾患です。
感染症法では4類感染症に位置付けられています。
実験動物として採集されたサルの一部が感染していたことが最初の発見契機であったため、サル痘と呼ばれます。
本来のウイルス保有動物は土着のリスやネズミ(げっ歯類)などです。
それらの保有動物から直接ヒトに、あるいは保有動物からサルを介してヒトに感染します。

2:感染様式
(1)感染様式
げっ歯類やサルなどの野生動物、あるいはそれらから感染したペットに咬まれる、あるいは血液、体液、発疹などに
触れることで感染します。
自然界ではげっ歯類が宿主と考えられています。
ヒトからヒトへの感染は稀です。
濃厚接触者の感染や、リネン類を介した医療従事者の感染の報告があります。
患者の飛沫・体液・皮膚病変(発疹部位)を介した飛沫感染や接触感染があると考えられています。
(2)潜伏期間
潜伏期間は5〜21日(通常7〜14日)とされています。
3:疫学
(1)流行地域
1970年にザイール(現在のコンゴ民主共和国)で初めて報告されて以降、アフリカ中央部から西部にかけて主に発生
してきました。
(2)致命率
死亡率は1%から10%とされています。
ナイジェリアでは2017年から2022年に558人の患者が発生し、8人が死亡しています。
2003年のアメリカ合衆国の流行では死者は出ていません。
4:症状
(1)初期症状
発熱、激しい頭痛、リンパ節腫脹(リンパ節の腫れ)、背中の痛み、筋肉痛(筋肉痛)および激しい無力症(エネルギー不足)
を特徴とする浸潤期間(0?5日間続く)があります。
リンパ節腫脹は、最初に類似しているように見えるかもしれない他の疾患(水痘、麻疹、天然痘)と比較して、サル痘の
際立った特徴です。
(2)発疹
発疹は典型的には顔面から始まり、体幹部へと広がります。
初期は平坦ですが、水疱、膿疱化し痂皮化した後、発症から2〜4週間で治癒します。
発疹は皮膚だけではなく、口腔、陰部の粘膜、結膜や角膜にも生じることがあります。
特に初期においては水痘や麻しん、梅毒などのその他の発疹症との鑑別が困難なことがあります。
リンパ節腫脹を呈する頻度が高く、類似した皮膚病変を示す天然痘との鑑別に有用とされます。

国立感染症研究所 HP 「サル痘」 から引用
5:診断
(1)臨床鑑別診断
水痘、麻疹、細菌性皮膚感染症、疥癬、梅毒、および薬物関連アレルギーなどの他の発疹疾患が含まれる。
(2)診断のポイント
病気の前駆段階におけるリンパ節腫脹は、サル痘を水痘または天然痘と区別するための臨床的特徴です。
(天然痘や水疱瘡では腫れが起こらない)
確定診断は、PCR検査でウイルスの存在を確認します。
6:治療
(1)対症療法
サル痘に対する特異的な治療法はありません。
症状に応じた対症療法を行います。
7:予防方法
(1)家庭、市中における感染対策について
発熱、皮疹がありサル痘が疑われる場合、マスク着用を行い、咳エチケットを守り、手指衛生を行います。
また、患者が使用したリネン類から感染した報告があることから、使用したリネン類や衣類は手袋などを着用して
直接的な接触を避け、密閉できる袋に入れて洗濯などを行い、その後手洗いをいます。
(2)病院における確定症例、疑い症例への感染対策について
確定患者および疑い患者に対しては、飛沫予防策、接触予防策を取る必要があります。
サル痘の主な感染経路は接触感染や飛沫感染です。、
水痘、麻疹等の空気感染を起こす感染症が鑑別診断に入ることを考慮し、現時点では、医療機関内では空気予防策を
実施することが推奨されています。
また、診療行為に伴うエアロゾル感染の可能性が否定できないため、N95マスクなど空気予防策を取られます。
(3)ワクチンについて
天然痘のワクチンである痘そうワクチンがサル痘予防にも有効です。
日本では1976年以降、痘そうワクチンの接種は行われていません。
サル痘ウイルス曝露後4日以内に痘そうワクチンを接種すると感染予防効果がきたいされます。
曝露後4-14日で接種した場合は重症化予防効果があるとされています。(CDC. 2021)
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サル痘感染症と口腔ケア |
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参考資料 |
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