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RSウイルス(respiratory syncytial virus)感染症ついて

     

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RSウイルス感染症 (infection with respiratory syncytial virus )
1:RS感染症とは
 (1)RSウイルス    
     エンベロープを持つRNAウイルスです。
     直径80?350nmの球形、あるいはフィラメント状を呈します。

      


     大きくA型とB型の二つに分類できます。

     環境中では比較的弱いウイルスです。
     凍結からの融解、55℃以上の加熱界面活性剤エーテル次亜塩素酸ナトリウムを含む塩素系消毒薬などで
     速やかに不活化されます。
     呼吸器感染に際して、隣接する細胞の細胞膜を融合させ多核の巨細胞様の構造物を形成します。
     これを合胞体またはシンシチウム(syncytium, pl. syncytia)という。


 (2)RS感染症の特徴
     年齢を問わず、生涯にわたり顕性感染を起こし、風邪のの原因ウイルスです。
     
     特に乳幼児期において非常に重要な病原体です。
     69%の乳児が生後最初の一年間でRSVに罹患すると言われています。

     母体からの移行抗体が存在するにもかかわらず、 生後数週から数カ月の期間に重症な症状を引き起こします
     低出生体重児や、ある いは心肺系に基礎疾患があったり、免疫不全のある場合には重症化のリスクが高くなります。


2:感染様式
 (1)感染様式
     飛沫と接触感染の両方で感染します。
     感染力および増殖力は強く、発症前の潜伏期にも周囲の人を感染させます。
     小児では、症状が消えてから1?3週間後も感染力を失わない可能性があります。
     眼および鼻などの粘膜からも感染すると考えられていて、通常の鼻と口を覆うマスクでは効果はないとされています。


 (2)潜伏期間
     潜伏期は2?8日、典型的には4?6日とされています。


3:疫学
 (1)流行時期
     日本では、11月から1月にかけて冬期の流行が多く報告されています。


4:症状
 (1)乳幼児期の感染
     RSVの初感染は常に顕性で、軽症の感冒様症状から重症の細気管支炎や肺炎などの下気道疾患に至るまで、
     様々です。
     初感染においては下気道疾患を起こす危険性は高く、罹患者の1/3 が下気道疾患を起こすと報告されています。
     生後4週未満の場合には、軽症でも突然無呼吸発作を起こすことがあり、乳幼児突然死症候群の原因の一つとも
     考えられています。

 (2)主な症状
     2〜5日の潜伏期の後、39℃程度の発熱、鼻水、咳などの症状がみられます。
     通常、1〜2週間で軽快します。
     呼吸困難等のために0.5〜2%で入院が必要(酸素補給、気管拡張、点滴などで支援)となります。

     
     「RS ウイルス(respiratory syncytial virus)」  堤裕幸  ウイルス 第 55 巻 第1号,pp.77 − 84,2005から引用


5:診断
 (1)迅速診断キット
     チェックRSV、ラピッドテスタRSV-アデノ、などの免疫クロマトグラフィー法を用いた迅速診断キットが実用化されています。


6:治療
 (1)対症療法
     療薬も存在しないため通常は症状抑制や栄養補給などの支援療法が主体となります。


7:予防
 (1)衛生管理
  @マスク
     せきが出ている年長児や成人は、できる限りマスク着用を行います。

  A手洗い
     眼および鼻などの粘膜からも感染すると考えられていて、手洗いを行う事は必須です。

  B子どものおもちゃの消毒
     子どもたちが日常的に触れるおもちゃはできるだけ個人用とします。
     アルコールや次亜塩素酸ナトリウムを使うか、熱による消毒を行います。

  C環境の消毒
     手すりのようなよく手が触れる場所は、アルコールや次亜塩素酸ナトリウムでこまめにふき掃除を行います。



感染症と口腔ケア



参考資料


「RS ウイルス(respiratory syncytial virus)」  堤 裕 幸  ウイルス 第 55 巻 第1号,pp.77 − 84,2005





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