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1:放線菌症とは
放線菌属細菌(主としてActinomyces israelii)による混合感染症で、特異性炎とさ れています。
放線菌は病原性の弱い嫌気性菌の口腔常在菌です。
本来感染力は弱く、組織に損傷があり、細菌が組織深くに侵入できる場合にのみ感染症が生じます。
放線菌症の特徴は、板状硬結、多発性膿瘍形成、開口障害、菌槐の排出です。
放線菌の電顕像
2:症状
炎症や抜歯などの外科処置などを誘因として発症します。
青壮年期に多く、男性が女性の2倍の頻度と言われています。
顎骨内に生じたものは顎放線菌症といわれ、下顎大臼歯部に多く発生します。
病変部は肉芽組織の増生と線維化による硬結(板状硬結)、軟化して膿瘍を形成、やがて自壊して瘻孔から排膿します。
膿汁内に黄白色の菌塊(druse)が認められます。
右頬部の硬結、耳前部からの排膿、開口障害が認められます。
「MSD Manual プロフェッショナル版」から引用
3:治療
通常は高用量のペニシリンが効果的ですが,長期投与(8週間から1年)が必要です。
膿瘍を排膿するとともに,瘻孔を切除する手術が必要になることもあります。
4:予後
速やかな診断と適切な治療を行えば、ほとんどの場合は完治します。
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