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下顎骨骨折について
     
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下顎骨骨折
 
下顎骨骨折とは
口腔外科を訪れる顔面外傷中、最も多数を占めるのが下顎骨骨折です。

骨折好発部位は下顎角部、関節突起部、オトガイ孔付近、犬歯部など構造的に脆弱または外力が集中しやすいところです。
下顎枝や筋突起には少ない。


症 状
咬合の異常、顔貌の変形、開口障害、嚥下障害、流唾などは必発の症状であるといえます。

その他に、下歯槽神経の損傷によるオトガイ部皮膚の知覚障害、骨片の異常可動性軋礫音、Malgaigne圧痛点、骨折部真上歯肉部の出血裂傷などを伴うことが多い。
特に重視するべきは咬合異常で、咬合異常の有無が観血的手術を行うか否かを左右します。


診 断
上記症状およびX線写真により骨折部位の確認は容易である。
診断にさいしてはX線のみに頼らず問診、視診、触診によって骨折部位を推定する習慣をつけておくことが大切です。

X線所見
X線所見では、顎骨長軸に平行な骨折線はオルソパントモグラフでは不明瞭で見落とされやすく、頬舌的に斜走する1本の骨折線は2本の線として現れる。
下顎正中部では咬合法がとくに有効です。

診断のポイント
    咬合異常:自覚的、他覚的に診ていきます。  
      圧痛   :骨折線に沿って圧痛が出ますので、顔面周囲を触診します。
      変形   :腫脹があると分かりにくい。
  
  
治療法
下顎骨骨折の治療の目的は、たんに骨をひっつけることではなく、咬めるように治すことです。
すなわち正常咬合への回復が主眼となります。

有歯顎の場合は副子または歯牙結紮などを施し、顎間固定により骨片の整復と安静をはかります。
固定を早期に行うことによりその後の腫脹、疼痛の増悪を予防できます。

単純骨折で転位が軽度であれば、このような非観血的治療のみで完治可能です。
その場合の顎間固定期間は4週間を基準とします。


症例
  症例1
    交通事故により受傷。
    左大臼歯部(黄色)は咬んでいますが、右側(青色:小臼歯部から反体側にかけて)は離開しています。
    これだけで、骨折部位が小臼歯と大臼歯部の境目であることが分かると思います。   

           


   症例2
    左側、下顎角部の骨折です。

        


   症例3
    建設作業中に高所より転落して受傷。
    写真は手術後のもので、三内式シーネによる顎間固定をして咬合を回復し、金属プレートで骨接合をしました。  
          
       






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