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上顎劣成長を特徴とする症候群について


    
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上顎劣成長を特徴とする症候群

  反対咬合はABCDさあな!

    A: Apert症候群

    B: Beckwith-Wiedemann症候群

    C:Crouzon病 

    D: Down症候群

    さ:鎖骨頭蓋異骨症 

    あ:アクロメガリー

    な:軟骨無形成症


鎖骨頭蓋異骨症 (CCD:Cleido-cranial dysostosis)

1:概念
(1)特徴   
    鎖骨頭蓋異形成症ともいいます。   
    鎖骨の低形成または欠如、大泉門の閉鎖不全、頭蓋骨の発育異常、歯の形成異常などを特徴とする症候群です。 

(2)歴史   
    1765年にMMartinが初めて報告しました。   
    1987年にP.Marie (18531940) P.Saintonが鎖骨欠損,頭蓋奇形と歯の異常などを報告しました。


2:原因遺伝子と遺伝形式   
    6番染色体(6q211)にある骨芽細胞の分化促進転写遺伝子CBFAI (RWXZ)の変異によります。   
    常染色体優性遺伝。


3:疫学
(1)出生頻度
    20万人に1


4:鎖骨頭蓋異骨症の症候・症状
(1)全身的特徴   
 @全身の骨異常として    
    鎖骨低形成あるいは欠損(両肩を前方で接近できる)    
    なで肩、翼状肩甲骨、短頭、泉門残存.
   
    縫合離開、頭蓋正中部の縫合不全、    
    下肢骨短縮内反股,外反膝または内反膝,低身長,    
    釣鐘状胸郭頭蓋骨の骨化遅延による大泉門閉鎖遅延,    
    Worm骨    (縫合骨:頭蓋骨縫合線に沿ってみられる不規則形の骨)    
    手根骨の化骨遅延.    
    椎弓部の癒合不全.
    恥骨と大腿骨頚部の骨化障害、など.

     『スペシャルニーズデンティストリー障害者歯科 第2版』 から引用

(2)合併症   
    残存鎖骨による神経圧迫がある.


3:鎖骨頭蓋異骨症と歯科医療
(1)歯科的特徴   
    化骨障害に伴う上顎発育不全による相対的な反対咬合   
    乳歯と永久歯の萌出遅延、乳歯脱落遅延   
    過剰歯と、多数の過剰埋伏歯   
    歯列不正、   
    高口蓋や筋突起の形態異常、など。  

     

(2)歯科的対応   
    乳歯と永久歯の萌出遅延や埋伏による咀嚼障害が生じている場合は義歯などによる補綴を検討する必要が有ります。  
    歯列不正や咬合異常については,矯正治療を検討します。


 
アペール症候群 (Apert syndrome)
1:概念
(1)特徴   
    尖頭合指症(acrocephalosyndactyly)ともいいます。   
    頭蓋および顔面骨の形成異常および合指を伴います。  
    骨形成経路への前駆細胞数の増加により症状が出ます。   
    骨膜下骨基質形成と胎生期における頭蓋冠の早期骨化の促進によって生じます。

    

(2)歴史
    1906年にE.C.Apert (18681940)が報告しました。


2:原因遺伝子と遺伝形式   
    10番染色体(10q26.13)にある線維芽細胞成長因子受容体FEF2遺伝子の変異が原因となります。 
    常染色体優性遺伝です。


3:疫学
(1)出生頻度  
    16万人に1人。


4:アペール症候群の症候・症状
(1)全身的特徴   
    合指趾、手・足・頸椎の骨癒合頭蓋縫合の早期癒合、   
    尖頭症、   
    顔面中部後退、   
    眼瞼裂斜下、眼間開離、   
    浅い眼窩、眼球突出、緑内障、斜視、   
    凸の鼻堤や耳介低位、など。

      

(2)合併症   
    知的能力障害があります。


5:アペール症候群と歯科医療
(1)歯科的特徴   
    上顎骨の形成不全、反対咬合、高口蓋、口蓋垂裂   
    歯の萌出遅延や巨大歯、があります.

     『スペシャルニーズデンティストリー障害者歯科 第2版』 から引用

(2)歯科的対応
    手趾機能不全がある場合 、ブラッシングの工夫が必要です。   
    反対咬合への矯正治療を検討する必要も有ります。   
    知的能力障害への対応を行います。


クルーゾン(Crouzon)症候群
1:概念
(1)特徴    
    Crouzon病ともいいます。   
    頭蓋縫合の早期癒合、顔面中部後退と眼球突出を特徴とします。
    Apert症候群と症状の類似が多い症候群です。    

(2)歴史   
    1912年にL、E.OCrouzon(1874〜1938)が報告しました。


2:原因遺伝子と遺伝形式   
    10番染色体(10q26.13)にある線維芽細胞成長因子受容体FEFH2遺伝子の変異による症候群です。   
    常染色体優性遺伝.   
    半数が家族性,半数が散発例です。    


3:疫学
(1)出生頻度
  
    165千人に1


4:クルーゾン症候群の症候・症状
(1)身的特徴   
    頭蓋縫合の早期癒合による尖頭症、
    顔面中部後退、眼間開離、浅い眼窩、眼球突出,   
    外斜視や凸の鼻堤などがある.

      
    『スペシャルニーズデンティストリー障害者歯科 第2版』 から引用

(2)合併症   
    知的能力障害、難聴


5:クルーゾン症候群と歯科医療
(1)歯科的特徴   
    上顎劣成長、下顎過成長、反対咬合、狭窄歯列弓,歯列不正(特に上顎叢生が多い)   
    高口蓋、口呼吸、など。

(2)歯科的対応   
    歯列不正や反対咬合については,矯正治療を検討します。   
    知的能力障害への対応を行います。  


参考資料







  



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