お口大全 (お口の機能と口腔ケア)   All the Oral-functions and Care
mail:info@aofc-ydc.com

過成長を特徴とする症候群について

    
トップページ お口の働き お口の病気 摂食嚥下障害  お口から入る病気  口腔ケア 


過成長を主徴とする症候群

 過成長を主徴とする症候群
    T:マルフアン症候群 (Marfan syndrome)

    U:ソトス症候群 (Sotos syndrome)

    V:マッキューン・オルブライト症候群 (McCune-Albright syndrome)


T:マルフアン症候群 (Marfan syndrome)
1:概念
(1)特徴   
    骨格,眼、心血管系に特徴的な症状を呈する結合組織代謝異常です。   

(2)歴史  
    1896年、A.B.J・Marfan(1858〜1942)が報告しました。  

(3)原因遺伝子と遺伝形式   
    1型は15番染色体(15q211)にあるフインブリリンFBjVI遺伝子の変異による常染色体優性遺伝.   
    2型は3番染色体(3q24.1)にあるTGRBR2の変異によります。


2:疫学   
(1)出生頻度

    1万6千〜2万5千人に1人.性差はない.


3:マルフアン症候群の症候・症状
(1)全身的特徴
  
    高身長、漏斗胸、関節過伸展、側湾症、長頭   
    目立つ前額部、頭蓋骨癒合、脳頭蓋と顔面頭蓋の非対称、尖ったオトガイ   
    老人様顔貌、細長い指、扁平足、外反膝、   
    青色強膜、視力障害、水晶体脱臼 など

    

(2)合併症   
    心不全、細菌性心内膜炎   
    呼吸困難、不安神経症や学習障害があります。


4:マルファン症候群と歯科医療
(1)歯科的特徴
  
    高口蓋、不正咬合、狭窄歯列弓、口蓋裂・口唇裂,   
    歯の形態異常や形成異常、など.   
    上顎の餓蝕罹患率や顎関節症の頻度が高い.

     『スペシャルニーズデンティストリー障害者歯科 第2版』 から引用

(2)歯科的対応   
    細菌性心内膜炎予防の抗菌薬予防投与が必要です。  
    不正咬合と上顎前突に対する矯正治療を検討します。   
    歯の形成異常には、齪蝕予防処置を行います。


U:ソトス症候群 (Sotos syndrome)
1:概念
(1)特徴
  
    脳性巨人症(cerebral gigantism) ともいいます。
    過成長を特徴とします。

     

(2)歴史   
    1964年にJ.F.Sotos (1927〜) らが報告しました。  
    2005年にK.T.Brownらが原因遺伝子を解明しました。

(3)原因遺伝子と遺伝形式    
    5番染色体(5q35)にある核受容体結合SETドメイン、タンパクNSD1遺伝子の変異により発症します。   
    常染色体優性遺伝ですが、多くは散発性です。

    


2:疫学
(1)出生頻度

    1万4千人に1人。


3:ソトス症候群の症候・症状
(1)全身的特徴
  
    過成長,知的能力障害,先端肥大,   
    骨年齢の促進、大きな手と足,大きい耳介,   
    大頭症および血中バリンの高値   

(2)特徴的顔貌     
    頬部の紅潮,前頭部の疎な頭髪, 目立つ前額部,    
    眼瞼下垂、長い顔、尖ったオトガイ.

     『スペシャルニーズデンティストリー障害者歯科 第2版』 から引用

(2)合併症   
    てんかん,直腸ポリープ、   
    先天性心疾患や良性または悪性腫瘍、など。 


4:ソトス症候群と歯科医療
(1)歯科的特徴
  
    高口蓋、下顎前突、オトガイ部突出がみられます。

(2)歯科的対応   
    知的能力障害への対応を行います。


V:マッキューン・オルブライト症候群 (McCune-Albright syndrome)
1:概念
(1)特徴
  
 @マッキューン・オルブライト症候群    
    Albright症候群、多骨性線維性骨異形成症(polyostotic  fibrous  dysplasia)ともいいます。  
    皮膚のカフェオレ斑、思春期早発が特徴です。    

    

 A線維性骨異形成症とは
    幼若な骨形成を伴う線維性結合組織の増生によって正常骨が置換される腫瘍様病変です。
    
    多くが単骨性に発生し、10?20歳代に好発し原因は未だ不明です。
    顎骨は好発部位で、下顎骨よりも上顎骨に、前歯部よりも臼歯部に好発します。
    緩慢に進行し、骨格成長を終えるとともに病変の増大も停止します。
    初期には病変と周囲骨との境界は不明瞭で、嚢胞状陰影 硬組織形成が進むとともにすりガラス状の異常陰影を
    呈する様になります。

    MaCune-Albright症候群では、本疾患が多骨性に生じ、皮膚のメラニン沈着(カフェオレ斑)と
    内分泌異常(女児の性的早熟など)を伴う様になります。

(2)歴史   
    1937年にD.J.McCune (1902〜1976) とF.Albright (1900〜1969)が報告しました。  
    1992年にW.F.Schwindingerが原因遺伝子を特定しました。   

(3)原因遺伝子と遺伝形式    
    20番染色体(20q13.32)にある促進性GタンパクαサブユニットGM4SI遺伝子の変異により発症します。   
    Gタンパクの変異によるcAMPが過剰産生からホルモン過剰が起こると考えられています。   
    GM4SI変異は受精以後に体細胞で起こるため,散発性で体細胞モザイクとなります。  


2:疫学   
(1)出生頻度

    10万〜100万人に1人.


3:マッキューン・オルブライト症候群の症候・症状
(1)全身的特徴   
 @骨格異常
    
    四肢長管骨や骨盤骨の骨異形成を呈します。     
    頭蓋顔面骨の過形成易骨折性や骨変形が生じます。  
    
     

 A皮膚異常     
    辺縁が不整な大きなカフェオレ斑ができ非対称性に分布します。     
    一つの斑が正中をまたぐことは有りません。   

    

 B内分泌系異常     
    女性の半数以上に思春期早発を認めます。
    男性にはまれです。

(2)合併症   
 @合併症    
    甲状腺機能充進症、巨人症、 Cushing症候群。 
    難聴や視力障害があります。

 Aクッシング(Cushing)症候群
    原因
      血中のコルチゾールまたは関連するコルチコステロイドの慢性高値によって引き起こされる一群の臨床的な
      異常です。

     臨床像  
      多血症様の外観を呈する満月様顔貌。 
      鎖骨上部および頸部背側への著明な脂肪沈着(野牛肩) を伴う中心性肥満。  
      通常は極めて細い四肢遠位部と指趾が特徴です。

          


4: McCune Albright症候群と歯科医療
(1)歯科的特徴
  
    粘膜の色素沈着、顎骨の線維性異骨症、不正咬合、捻転歯、エナメル質減形成、など。  

(2)歯科的対応   
    線維性異骨症に対して口腔外科的対応を要することがあります。


参考資料










 お口大全TOPへ

copyrightc 2021 YDC all rights reserved


mail:mail:info@aofc-ydc1.sadist.jp