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慢性硬化性唾液腺炎について


     
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慢性硬化性唾液腺炎 ()
  1:慢性硬化性唾液腺炎とは
 唾液腺の無痛性腫脹や著明な線維化傾向を示す慢性炎症性疾患です。
 キュットネル腫瘍とも呼ばれていましたが、本態は腫瘍ではなく、線維性組織の増生を伴う慢性炎症です。
 近年、IgG4関連疾患、Sojgren症候群との比較検討が多くなされています。


2:原因
 原因は不明ですが、口腔からの上行性感染、異物や唾石による唾液排出障害などが原 因とされてきました。
 しかし、最近では IgG4 および自己免疫の関与が示唆されています。

3:疫学
 比較的まれな病気ですが成人男性に多いとされています。
 顎下腺に好発し、耳下腺、舌下腺はまれです。
 
        


4:症状
 無痛性の腫脹あるいは硬化性の腫瘤が片側の顎下腺にみられるます。
 硬化性の腫 として触知できるものは、可動性の場合と癒着している場合とがあります。
 経過は年単位に及びます。


5:診断
 (1)検査所見
     免疫染色による IgG4 陽性形質細胞が病変内に認められます。
     血中の IgG4 の上昇します。

 (2)X線検査
     唾液腺造影法にて導管の拡張および腺房の消失が観察されます。


 (3)鑑別診断
      唾液腺腫瘍、唾石症シェーグレン症候群、結核性リンパ節炎などです。


6:治療
 経過観察、症状により顎下腺を摘出します。
 全身状態や唾液腺自体の障害の改善程度によって治療方針を決めます。




参考資料
  「唾液腺腫脹をきたす非腫瘍性疾患」  永見、高野 他  口咽科 2016 ; 29(1):19 〜 24




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