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エンテロウイルスついて

    

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エンテロウィルス (Enterovirus)
  1:エンテロウイルス
 (1)エンテロウィルス    
  @エンテロウィルスとは     
     ピコルナウイルス科のエンベロープのない一本鎖RNAウイルスです。
     腸管内で増殖するウイルスの総称のため、腸管ウイルスともいいます。
     エンテロウイルス属は夏に多くみられます。

     


  Aエンテロウィルスの種類
     ピコナウイルス科 エンテロウイルス属です。
     1)ポリオウイルスと、2)ノンポリオエンテロウイルスのA〜Dの計5種類に分けられます。
         
    1) ポリオウイルス----- 1〜3
 
    2)ノンポリオエンテロウイルス
        A コクサッキーA群-----A1〜A22、A24
        B コクサッキーB群-----B1〜B6
        C エコーウイルス------1〜9、11〜27、29〜33
        D エンテロウイルス----68〜72


 (2)エンテロウィルス感染症
     主に経口感染し、腸管内で増殖した後、血中に侵入して様々な組織に広がります。 
     手足口病ヘルパンギーナ、ポリオの原因ウイルスです。

     


2:感染様式
 (1)感染経路
     経口あるいは糞口感染します。
     飛沫感染もあります
     
     咽頭で感染成立の後、消化管で増殖します。
     この時期は無症状か発熱程度です。
     胃液の強酸や、膵液のアルカリで死滅することなく、消化管(特に腸)の中で増殖します。

     リンパ節で増殖後ウイルス血症をきたし、標的となる髄膜、心筋などを襲います。

     ウイルスは糞便中に長期間排泄されますが、咽頭からは初期の短期間しか検出されません。
     通常は一過性の経過で、予後は良好です。
     不顕性感染が多く60〜80%に達すると言われます。


 (2)潜伏期間
     2〜4日です。


3:疫学


4:エンテロウイルスが引き起こす病気と症状
 (1)急性上気道炎
     発熱を主徴とし、倦怠感、筋肉痛、食欲不振などの非特異的な症状を呈します。
     いわゆるかぜ症候群の一つです。
     
     胃腸症状は軽度です。
     扁桃炎を起こして扁桃に膿栓が付着することがあります。
     
     高熱が5〜7日続くこともあります。
     肺炎はまれに起こります。
     冬、インフルエンザアデノウイルスと同時にエンテロウイルス感染が発生する事があります。


 (2)急性胃腸炎
     エンテロウイルスにより嘔吐、下痢が起こりますが軽度です。
     軟便数回から水様便がありますが、血便はありません。
 
     嘔吐が主な場合は無菌性髄膜炎がないか注意します。
     腹痛もよくみられ、疝痛様から軽い不快感までみられます。
     腹痛は発熱を伴う場合に多く起こります。


 (3)ヘルパンギーナ
     詳細は、「ヘルパンギーナ」へ


 (4)手足口病
     詳細は、「手足口病」へ


 (5)ウイルス性発疹症
     コクサッキーウイルス、エコーウイルスにより全身性の発疹がみられます。
     
     エコーウイルス16による発疹症は、風疹、突発性発疹類似の皮疹と2、3日の発熱をきたし、時に口内疹
     みられます。

     

     発疹の性状は多彩で年齢が幼いほど発疹が出やすくなります。
     赤色の斑状丘疹、風疹様、ときに紫斑、じんま疹様、多形紅斑様などの全身発疹がみられます。
     かゆみはありません。

     1、2日でピークに達し次第に退色し数日で消失します。
     発疹のみられる時期は発熱と同時、下熱後または無熱のこともあります。
     粘膜疹、下痢、髄膜炎などのエンテロウイルスによるほかの症状を合併することもあります。 


 (6)無菌性髄膜炎
     髄膜炎とは、髄膜(脳と脊髄を覆う組織層)とくも膜下腔(髄膜と髄膜の間の空間)の炎症のことです。
     無菌性髄膜炎とは、髄膜炎の典型的な原因菌以外の原因によって生じる髄膜炎のことです。

     この病気は乳児と小児で最も多くみられます。無菌性髄膜炎の発生は通常、14歳以下の小児で多く、
     女子より男子で多いです。
     しかし、15歳以上の年齢層で無菌性髄膜炎の集団発生が起こることもあります。

     


 (7)ギラン・バレー症候群
     各種のコクサッキー、エコーウィルス感染に引き続き、運動麻痺を主症状とするアレルギー性多発神経炎
     起こる事があります。


 (8)急性脳脊髄炎

 (9)急性灰白髄炎(ポリオ
     詳細は、「ポリオ」へ


 (10)心筋心膜炎
     心筋心膜炎は、心筋(心臓の筋肉)や心膜(心臓の外側を覆っている膜)に炎症が起きた状態です。
     この心臓の感染症は、いずれの年齢でも起こりますが、ほとんどは20〜39歳で発症します。
     胸痛、不整脈、心不全がみられることがあり、突然死に至る場合もあります。
     通常は完全に回復しますが、一部の人では拡張型心筋症と呼ばれる心臓の病気を発症します。

     出生時からこの病気がある新生児(新生児心筋炎)では、発熱と心不全がみられます。
     心不全により、呼吸困難と哺乳不良がみられます。多くの乳児が死亡します。


 (11)出血性結膜炎
     出血性結膜炎では、眼の炎症が起こります。
     まぶたが急速に腫れます。
     眼の白い部分を覆う透明な膜(結膜)の下で出血が起き、眼が充血する場合があります。

     この感染症は、瞳孔の前を覆う透明な曲面の層(角膜)にも及ぶことがあり、眼の痛み、涙、明るい光を見た際の
     痛みが起こります。
     どのエンテロウイルスが原因であるかによって、まれに脚の短期間の筋力低下または麻痺が起こることがあります。


5:診断
    エンテロウイルス感染症を診断するためには、発疹やただれを診察します。
    また血液検査を行ったり、のど、便、脳脊髄液(髄液)から採取したサンプルを検査室に送って、培養や検査を
    行ったりすることもあります。


6:治療
    根本的な治療法はありませんが、エンテロウイルス感染症の治療では、症状を軽減することが目標になります。
    エンテロウイルス感染症は、通常は完全に治りますが、心臓や中枢神経系の感染症はまれに死に至ることがあります。



エンテロウィルス感染症と口腔ケア
 


参考資料
 

 『生命科学のためのウイルス学―感染と宿主応答のしくみ,医療への応用


 『医科ウイルス学


 『新しいウイルス入門 (ブルーバックス)


  『病気がみえる vol.6 免疫・膠原病・感染症』  


 『ウイルス・細菌の図鑑 ―感染症がよくわかる重要微生物ガイド― (知りたい! サイエンス イラストレーテッド)』






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