唾石症 (Sianolithiasis) |
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1:唾石症とは
唾液腺の中や導管の中に石(唾石)ができることによって生じる病気で、ほとんどは顎下腺に生じます。
唾石は砂粒大の小さなものから数cmに及ぶものまでみられます。
2:分類
腺体内唾石---唾液腺の中に出来た唾石のことです。
管内唾石-----唾液腺体をでて、導管内にある唾石のことです。
3:原因
大半の唾石は,リン酸カルシウム,微量のマグネシウムおよび炭酸塩から成ります。
痛風患者では尿酸結石がみられることがある。
結石の形成には,唾液の停滞時に塩類が沈着する核が必要である。
何らかの原因で核が出来た時に、導管の炎症、唾液の停滞、唾液の性状の変化などが起こると唾石が出来ます。
唾液の停滞は、衰弱した患者、脱水した患者、食物摂取を減量した患者、または抗コリン薬を服用した患者に起こります。
4:疫学
顎下腺の腺体外導管や腺体移行部導管に多くみられます。
成人男性に好発します。
5:症状
ものを食べようとしたり、あるいは食べている最中に、唾液腺のある顎の下(顎下部)が腫れたり痛なだりします。
腫れのことを、唾腫(だしゅ)と言います。
激しい痛みのことを、唾仙痛(だせんつう)と言います。
しばらくすると徐々に症状が消退するのが特徴です。
唾液の噴出と同時に症状の緩和が起こることもあります。
結石には間欠的に症状を引き起こすもの、または無症状のものもあります。
6:診断
(1)臨床症状
痛み、腫れの性状を確かめます。
開口部からの唾液の流出を見ます。
(2)画像検査
X線検査----咬合撮影法
その他-----CT,超音波検査,唾液腺造影など

7:治療
小さな唾石は開口部から自然に流出することもあります。
口底部にある唾液の導管内にある唾石は、口の中で切開して唾石のみを摘出します。
顎下腺の中にできたものは、顎下腺ごと唾石を摘出します。
症例
症例1:10歳女性
当初はかなり歯が痛いと言うことで来院。
他院で原因は分からず、痛み止めが出されていました。
確かに、原因となるような歯は見当たらりませんでした。
しかし痛みの性状を良く聞くと、食事中に痛くなることが多いと言うことでした。
歯から、舌下小丘部に視点を変えて観察すると、わずかに何かが見えました。
硬い物が触れたので、唾石と考え、局所麻酔下に摘出しました。
以後、痛みは完全に無くなりました。

症例2:6歳女性
やはりかなり歯が痛いと言うことで来院。
最初は歯を見ていましたが、やはり原因の歯は見つからず。
改めて舌下小丘部を見ると、異物らしき物がありました。
導管部の直上を切開、モスキートで開削し摘出。
歯牙の様な異物が出てきました。
開口部から見えていたのは根の先端でした。

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