お口大全 (お口の機能と口腔ケア) |
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唇裂、口蓋裂について
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口唇・口蓋裂 (Cleft of Lip、Palate) |
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1:口唇・口蓋裂とは
先天性異常の一つです。
軟口蓋あるいは硬口蓋またはその両方が閉鎖しない状態の口蓋裂、口唇の一部に裂け目が現れる状態の口唇裂(唇裂)
といいます。
口唇口蓋裂の有病率は500人中1人(日本人の場合)程度です。有病率は人種によって異なります。
1:口唇裂と口蓋裂
(1)口唇裂
@口唇裂とは
口唇の一部に裂け目が現れる奇形を口唇裂、唇裂と呼びます。
口唇裂は、鼻まで達する完全口唇裂、達しない不完全口唇裂、他に片側性・両側性に分けられます。
また、軽微な口唇裂を痕跡唇裂と言います。
痕跡唇裂は、赤唇縁の小さなへこみや、唇から鼻の穴までの傷痕のように見えます。
ただし外見上は軽微な変化であっても、その下にある口輪筋への影響があり、再建手術を必要とする場合が
あります。
ASperberによる分類 (Wikipedia 唇裂・口蓋裂より引用)
B原因
一次口蓋の形成時に起こる上顎隆起と内側鼻隆起の癒合不全によるものです。
また上唇裂の場合、環境的要因や遺伝的要因も指摘されています。
胎児脳内圧の異常亢進や風疹、薬物など。
遺伝に関しては日本で8.7%から16.0%の関与が報告されています。
C症状
審美的な障害や哺乳(ほにゅう)あるいは摂食障害、また発音障害などがみられます。
また手足や耳の形態異常、ヘルニアや心臓の形態異常を合併することもあります。
(2)口蓋裂
@口蓋裂とは
口蓋部における破裂があるものを口蓋裂といます。

A分類
軟口蓋、切歯孔までの硬口蓋と軟口蓋、片側性歯槽突起部、両側性歯槽突起部の4型に大きく分けられる。
B原因
両側の外側口蓋突起や、一次口蓋と鼻中隔の癒合不全による。
C症状
口蓋裂では口腔と鼻腔とが交通しているため鼻咽腔が食物で汚染され、二次的に扁桃炎や中耳炎をおこし
やすくなります
4:口唇口蓋裂の治療
出産直後から成人するまでの長期間にわたる、一連の治療が必要となります。
それには口腔外科、矯正歯科、小児歯科、形成外科、耳鼻咽喉科、小児科、言語治療科、一般歯科などによる
総合治療が必要です。
口蓋裂児ではミルクを上手に飲んだり、顎の正常な発育を促すためのホッツ床という装具(プレート)を生後可及的早期に
作製し口腔に装着します。
hotz床
口唇裂を閉鎖する形成手術の時期は、抵抗力のできる生後3〜6か月、体重5kg以上が目安とされています。
一方、口蓋裂では言葉を覚え始める1歳半から2歳ごろ、体重10kg以上に口蓋形成術を行なうのが理想的です。
手術後は正しい発音ができるように言語治療を行ないます。
手術後も鼻咽腔の閉鎖が不十分な場合は、発音が鼻声となります。
このような場合には、スピーチエイドとよぶ補助器具を装着することもあります。
スピーチエイド
口唇裂、顎裂、口蓋裂の患者は、もともと上顎の発育が不十分なうえに、形成術による術後の瘢痕(はんこん)のため、
さらに発育がわるくなっているのがふつうです。
このため、上顎の成長が極端にわるく、下顎の前歯が上顎の前歯より前に位置する反対咬合が必発します。
また、歯胚が欠如し、歯が生えてこなかったり、歯並びや噛み合わせもわるいことが多く、矯正歯科治療が必要と
なります。
治療のスケジュール
患者個人、病院、ケースによって違いがあることに注意する必要があります。
下記の表は、概ねの治療スケジュールです。
唇の治療のように一回の手続きで済むものもあれば、顎裂、言語聴覚療法のように継続的な治療法もあります。
年齢 |
0 月 |
3 月 |
6 月 |
9 月 |
1 年 |
2 年 |
3 年 |
4 年 |
5 年 |
6 年 |
7 年 |
8 年 |
9 年 |
10 年 |
11 年 |
12 年 |
13 年 |
14 年 |
15 年 |
16 年 |
17 年 |
18 年 |
口蓋閉鎖床 |
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口唇裂治療 |
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6ヶ月 5kg以上 |
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軟口蓋治療 |
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1歳6ヶ月 10kg以上 |
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硬口蓋治療 |
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中耳腔換気用チューブ |
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言語聴覚療法/咽頭形成術 |
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顎裂部骨移植 |
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歯科矯正治療 |
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? |
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その後の治療 (顎骨手術)) |
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Wikipedia 「唇顎・口蓋裂」 治療表を改変して引用 |
5:唇裂・口蓋裂を合併する症候群
Pierre Robin(ピエール・ロバン)症候群
トリチヤー・コリンズ症候群
アペール症候群
口・顔・指症候群1型
マルフアン症候群
22q11 .2欠失症候群 (第三・第四?弓症候群)
ゴールデンハー症候群 (第一・第二鰓弓症候群)
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参考資料 |
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