1:身体障害について
(1)身体障害とは
身体障害とは、先天的あるいは後天的な理由で身体機能の一部に障害を生じている状態、あるいはそのような
障害自体のことをいいます。
身体障害者福祉法(1947年施行)の第2節-第4条においては次の様に定義されています。
身体障害者とは、身体上の障害がある十八歳以上の者であつて、都道府県知事から身体障害者手帳の交付を
受けたものをいう、とされています。
(2)身体障害者と身体障害児
身体障害者福祉法は原則として満18歳以上が対象となっています。
満18歳未満の場合は児童福祉法に基づいて一部身体障害者福祉法の適用を受け、また児童福祉法自体でも別に
福祉施策を講じています。
そのため同じ障害者であっても、満18歳を境に支援の内容や利用可能な施設が異なることがある。
対象者を指す呼称も満18歳以上は身体障害者と呼び、満18歳未満は身体障害児と呼びます。
これは知的障害の場合も同様です。
2:身体障害の種類(身体障害者福祉法)
(1)視覚障害
視覚障害は様々な要因からくる視力の低下が知られていますが、視野が狭くなる視野狭窄も視覚障害となります。

(2)聴覚または平衡機能障害
聴覚障害者は身体障害者のうち、聴覚器に感覚鈍磨を生じる聴覚障害(聴力障害)を持つ者であり、感覚器障害者
の一種です。
聴覚障害者にはろう者(聾者)、軽度難聴から高度難聴などの難聴者、成長してから聴覚を失った中途失聴者、
加齢により聴力が衰える老人性難聴者が含まれます。
平衡機能障害は三半規管の機能障害やその他の要因で起立や歩行に必要なバランスが維持できない障害です。
聴覚障害者の方が運転する車に表示するマーク
(3)音声機能・言語機能・咀嚼機能障害
音声機能の障害とは、発声をするための器官である喉頭がない(無喉頭)、または喉頭や構音器官になんらかの
障害があるために話すことに障害がある状態です。
言語機能の障害は聴覚障害があるために音声言語が獲得できずに話すことができない、失語症などが原因と
なります。

(4)運動障害(肢体不自由:上肢、下肢、体幹)
運動障害は、肢体、いわゆる左右の手(上肢)、左右の足(下肢)または体幹と呼ばれる胸部、腹部、腰部
からなる胴体部分に欠損があるか、または欠損がなくても機能障害があり、日常生活動作に制約を受ける
ような障害のことです。

(5)内部障害(内臓疾患)
身体障害者福祉法では内部障害は現在のところ、心臓機能障害、腎臓機能障害、呼吸機能障害、膀胱・直腸機能障害、
小腸機能障害、ヒト免疫不全ウイルスによる免疫機能障害、肝臓機能障害の7つを内部障害(内部機能障害)と規定
しています。

@心臓機能障害(心不全)

A腎臓機能障害(腎不全)

B呼吸器機能障害(呼吸不全)

C膀胱又は直腸機能障害
人工肛門
腸瘻

D小腸機能障害
小腸大量切除を行う疾患・病態
上腸間膜血管閉塞症、小腸軸捻転症、先天性小腸閉鎖症、壊死性腸炎、広範腸管無神経節症、外傷
小腸疾患で永続的に小腸機能の著しい低下を伴うもの
クローン病、腸管ベーチェット病、非特異性小腸潰瘍、特発性仮性腸閉塞症、乳児期難治性下痢症、
吸収不良症候群
Eヒト免疫不全ウイルスによる免疫機能障害
ヒト免疫不全ウイルス(HIV)は人間のリンパ球などに感染し免疫力を低下させ、最終的には後天性免疫不全症候群
(AIDS:Acquired Immuno-deficiency Syndrome)を発症させます。
免疫力が低下、または不全となると、普段は感染しないような微弱な菌などによる感染症を起こします。
ヒト免疫不全ウイルスによる免疫機能障害はヒト免疫不全ウイルスに感染し、日常生活に制限を受ける状態を指し、
1〜4級に区分されます。
F肝臓機能障害(肝不全・非代償性肝硬変)

3:身体障害と等級
身体障害者手帳は障害の程度によって1?7級の等級があります。
等級は7級までありますが、交付の対象となるのは6級以上で、同級の重複障害がある場合は1級繰り上がるため、
7級の重複障害では6級となり、手帳交付の対象となります。
等級は、数字が小さいほど重度になります。
一般的に次の様に等級分けます。
1・2級---重度(特別障害者)、
3・4級---中度
5・6級---軽度(中度、軽度は一般障害者)
種別は、等級とは別に障害の程度を示し、主に公共交通機関の割引の時の基準となります。

4:身体障害の疫学
(1)身体障がい者の内訳
2018年(平成30年)度障害者雇用実態調査結果」(厚生労働省)
運動障害(肢体不自由)が 42.0%を占め、次いで内部障がいが 28.1%、聴覚言語障がいが 11.5%となっています。

(2)身体障害と運動障害(肢体不自由)
身体障害者総数436万人中、193万人ほどが肢体不自由となっています。
原身体障害者:在宅者---厚生労働省 「生活のしづらさなどに関する調査」 (2016年)

身体障害は、65歳以上の高齢者で著明に増加しています。
補足:身体障害に含まれない障害
嗅覚障害、痛覚障害、味覚障害
|