お口大全 (お口の機能と病気と口腔ケア)   All the Oral-functions and Care
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感染症について

    

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感染症について (Infections)
項目

T:感染、感染症について  


U:病原体・微生物について

 
V:各種ー細菌感染症    
  MRSA  セラチア菌  溶血性連鎖球菌   ジフテリア菌  緑膿菌  レジオネラ菌  

  黄色ブドウ球菌  破傷風  ペスト  炭疽

  O-157  細菌性赤痢  サルモネラ菌  腸チフス  コレラ  腸炎ビブリオ 
  
  梅毒トレポネーマ  淋菌  クラミジア  マイコプラズマ   結核(肺結核他)  百日咳

  むしば等からの感染症  歯周炎  智歯周囲炎  歯性上顎洞炎  口腔結核  顎放線菌症  口腔梅毒


W:各種ーウイルス感染症    
  かぜ症候群  RSウイルス  ライノウイルス  インフルエンザウイルス 

  コロナウイルス感染症   SARS  MERS  新型コロナウイルス感染症

  ノロウイルス  ロタウイルス   エンテロウイルス感染症  肝炎  (HAV HBV HCV
 
  麻疹  風疹  水痘  コクサッキーウイルス感染症  ヘルペスウイルス (HSV1,2 HZV)  流行性耳下腺炎      

  アデノウイルス感染症  伝染性紅斑  日本脳炎  ポリオ  HIVとAIDS  エボラ出血熱  狂犬病 天然痘


X:その他    
  カンジダ症  アスペルギウス症   トキソプラズマ症  アメーバ赤痢



T:感染、感染症について

1:感染、感染症とは?   
  感染=病原微生物(病原体)が様々な感染経路を通して宿主の組織、臓器に侵入発育・増殖し、生体に何らかの反応が
       生じた状態(=感染症の発症)をいいます。
       
      正常---病原体は生体防御機構(免疫)により感染せずに排除されます。   
      異常---感染が成立し、何らかの症状や徴候出現(発症)=これが感染症です。
      定着---病原体は存在するが、感染症状を呈していない状態をいいます。  

            

        『病気がみえる vol.6  免疫・膠原病・感染症』  から引用 


2:感染の成立(宿主ー病原体関係)
 
  感染成立には、  病原性(ヴィルレンス)病原体数宿主の生体防御機構(免疫) のバランスが大きく関与します。   
              *病原性…感染症を発症させる能力.     
        

        『病気がみえる vol.6  免疫・膠原病・感染症』  から引用


3:感染経路
  感染経路が複数ある場合があり、1対1の関係ではないことに注意が必要となります。  

  (1)空気感染(飛沫核感染、塵埃感染)  
     飛沫として空気中に飛散した病原体が、空気中で水分が蒸発して5μm以下の軽い微粒子(飛沫核)となってもなお
     病原性を保つものです。

     単体で長時間浮遊し、3フィート(91センチメートル)以上の長距離を移動します。  
     呼吸により粒子を吸い込むことにより感染を生じます。  
     埃と一緒に、ウイルスを吸い込む場合でも感染します。
 
     飛沫感染と飛沫核感染は病室管理上、区別する必要があります。  
     飛沫核感染する、治療法のない強感染性・強毒性の病原体に感染した患者は、フィルターをもった独立した排気経路
     のある陰圧室での隔離療養が理想です。

      感染例:  麻疹(はしか)水痘(水ぼうそう)天然痘結核が代表的。   
            新型コロナウイルスでも可能性が示唆されています。   
            ノロウイルスは後述する経口感染が主体ですが、塵埃の浮遊による飛沫核感染も起こり得ます。 

 (2)飛沫感染
    病原体を含んでいる患者の咳やくしゃみ、あるいは気道の吸引などによって飛散する体液の粒子(飛沫)
     これが他人の粘膜に付着することで感染が成立します。  
    飛沫は5μm以上で水分を含み大きく重いもので、1〜2m未満しか到達しません

    感染例:多くの上気道感染症     
      細菌性肺炎:   
         
      ウイルス感染症: インフルエンザライノウイルスRSウイルスジフテリア猩紅熱、発疹熱、発疹チフス、
                   
                 風疹コロナウイルス感染症新型コロナウイルス感染症 など


 (3)エアロゾル感染(限定空間感染  
    エアロゾルとは、飛沫よりも小さな粒子のことです。  
    エアロゾルは、くしゃみ等によって発生する飛沫とは区別されています。
 
    すぐに床面などに飛散することはありません。  
    水分を含むため飛沫核のように長距離を移動することはありません。  
    同じ空気中に一定の時間漂うことが主な特徴とされています。  
    エアロゾル感染は、密閉された空間において長時間・高濃度のエアロゾルにさらされた場合に生じます。  
    
    限定された条件下で発生しやすいという点で、通常の空気感染とは異なります  
    限定された条件下とは、医療機関の診察室、タクシー車内などの密閉された空間を指します 

        


 (4)接触感染(直接感染)  
    周囲の物体表面を介しての間接的な接触で病原体が付着し、その結果感染が成立するものです。
    主に口などの粘膜から体内に侵入します。
  
     接触部位--手や器具、手すりなどと、皮膚や粘膜の接触.
  
     感染例----伝染性膿痂疹など皮膚疾患や流行性角結膜炎など眼科疾患が代表的です。   
              疥癬をはじめ、精液を介した性感染症      
              梅毒風疹、トキソプラズマ症、ヘルペスウイルス感染症B型肝炎HIVとAIDS     
              狂犬病、鼡咬症、エボラ出血熱、破傷風、ガス壊疽 など  


 (5)介達感染  
     汚染されたものなどを媒介として感染するものです。  
     食品を媒介すると食中毒となる.  
     
     感染例--食中毒、ジフテリアB型肝炎結核など . 


 (6)唾液感染  
     唾液の中に生息する病原体が口移しやディープキスなどで唾液を介して感染が成立します。  
     臨床感染経路分類論では、歯垢感染と呼気感染は経口感染に入るが、唾液感染は入りません。    

     感染例---虫歯菌  EBウイルス    


 (7)血液感染(交差感染)  
     注射や輸血、歯科治療といった医療行為の他、外傷による出血が他者の目など粘膜に触れるなどして、血液中の
     病原体が感染を生じます。
  
     感染例:  HIV、B型肝炎、C型肝炎、クロイツフェルト・ヤコブ病が代表的です。   
            大量の曝露があれば梅毒も考慮されます。


 (8)ベクター感染(水平伝播)  
    他の動物(特に節足動物)が媒介者(ベクター)となって、伝播することで感染が成立するものです。
     
  @生物学的伝播    
     その病原体の生活環の一環として、ベクターの体内で発育、増殖し、そこから感染する場合です。
 
     感染例:
        蚊による------デング熱、日本脳炎、ウエストナイル熱、黄熱、マラリアなどの昆虫媒介感染症
        ダニによる----クリミア・コンゴ出血熱や重症熱性血小板減少症候群(SFTS)の媒介 .     
        シラミによる---発疹チフスの媒介     
        ネズミによる---ラッサ熱、南米出血熱、ハンタウイルス、ペスト、腸チフス、パラチフス、サルモネラなど   

  A機械的伝播、機械的ベクター感染    
        単にベクターの体表面に付着した病原体が機械的に伝播される場合です。
   
     感染例:    
        ハエによる----腸管出血性大腸菌や赤痢菌の媒介.      
        鳥による------鳥インフルエンザの鶏舎間媒介.  


 
(9)母子感染   
     垂直感染(垂直伝播)ともいいます。
     さらに次の様に分類されます。  

  @胎内感染(経胎盤感染・経羊水感染)胎盤を通る血液を通じて感染。     
     風疹ウイルスヒト免疫不全ウイルス(HIV)、サイトメガロウイルス、など。
  
  A産道感染(経膣感染) 出産時の出血や皮膚の擦り傷を介して感染.     
     B型肝炎、HIV、乳児口腔カンジダ症、など。    

  B母乳感染:
     HIVや成人T細胞白血病ウイルスなど。    


*感染経路まとめ
   感染経路.複数ある場合があり、11の関係ではないことに注意が必要です。

             


4:感染症と法律
 日本には、感染症を予防し、広範囲に拡がったときに正しい対処ができるよう定めた感染症法という法律があります。
 感染症法では、さまざまな感染症を以下のような8つに分類しています。
 感染症の種類によって、強制的な入院勧告や就業制限など感染拡大を予防するために行われる措置が異なります。

 (1)1類感染症
     感染力が強く、発症した場合は非常に重篤な状態に陥る可能性があるきわめて危険な感染症です。
     原則的に入院が勧告され、場合によっては交通制限が発動されることもあります。

     エボラ出血熱、クリミア・コンゴ熱、痘瘡、南米出血熱、ペスト、マールブルグ病、ラッサ熱


 (2)2類感染症
     感染力が強く、発症した場合は重篤な状態に陥る危険が高い感染症です。
     必要に応じて入院勧告が出され、一定期間食品を取り扱う業務に就くことができなくなります。

     ポリオ、ジフテリア重症急性呼吸器症候群(SARSウイルス感染症)、結核、鳥インフルエンザ


 (3)3類感染症
     発症した場合に、重篤な状態に陥る危険性は少ないものの、特定の職業に就業することによって集団発生を引き
     起こす可能性がある感染症です。
     一定期間、食品を取り扱う業務に就くことができなくなります。

     腸管出血性大腸菌感染症、コレラ、細菌性赤痢、腸チフス、パラチフス


 (4)4類感染症
     主に動物を介して感染が拡がり、健康に影響を与える恐れの高い感染症です。
     対象となる動物の輸入禁止や検閲強化などの措置が取られます。

     E型肝炎、A型肝炎、黄熱、Q熱、狂犬病、炭疽、鳥インフルエンザなど


 (5)5類感染症
     国家が感染症発生動向の調査を行い、国民・医療関係者・医療機関に必要な情報を提供・公開し、
     発生及び蔓延や伝染を防止する必要がある感染症です。
     発生動向を調査し、その情報を国民や医療従事者に周知することで、発生予防に役立つと考えられる感染症です。

     インフルエンザ麻疹、ウイルス性肝炎、後天性免疫不全症候群(エイズ)性器クラミジア感染症梅毒など


 (6)新型インフルエンザ等感染症
     人から人に感染することが分かった新しいタイプのインフルエンザです。
     多くの方が免疫を持っていないため全国的に大流行し、発症すると重篤な状態に陥る可能性があると考えられて
     います。
     必要であれば、一類感染症と同様の対処が取られることがあります。

     新型インフルエンザ


 (7)指定感染症
     すでに知られている感染症の中で一類〜三類感染症には分類されていないものの、適切な対処を講じなければ
     多くの国民の健康に重大な影響を及ぼすと考えられる感染症です。
     原則一年間に限定して政令で指定され、一類〜三類に準じた措置がとられます。


 (8)新感染症
     新たに人から人に感染することが認められ、発症すると重篤な状態に陥る危険が極めて高いと考えられる
     感染症です。
     行政機関による措置はそれぞれの危険性を考慮した上で決められます。

     現在は該当なし


 (補足)感染症と法的措置

         東京新聞 2021年1月15日から引用



5:感染症の予防と対策

   詳細は、「感染予防対策」へ

   詳細は、「各種感染検査」へ

   詳細は、「感染対策器材」へ

   詳細は、「消毒薬について」  「消毒薬の選択について」へ



U:病原体・微生物について

1:病原体とは?  

  病原体=感染の原因となる微生物や構造物です。    
          *微生物=肉眼では見えない微小な生物のこです。   
          *一種類の病原体が、感染経路や感染臓器の違いで複数の感染症(疾患)の原因となります。 

        
        『病気がみえる vol.6 免疫・膠原病・感染症』  から引用


2:病原体の種類
    寄生虫  真菌  細菌  特殊な細菌  ウイルス  プリオン等が感染症を起こす病原体になります。

         
        『病気がみえる vol.6 免疫・膠原病・感染症』  から引用     


    補足:特殊な細菌 : 細菌とウイルスの間に存在---リケッチア  クラミジア  マイコプラズマ

       
       『病気がみえる vol.6 免疫・膠原病・感染症』  から引用


3:病原体の大きさ
        寄生虫  
        真菌      10〜1μm位
        細菌      1μm位
        特殊な細菌  0.1〜0.3μm位
        ウイルス    0.1〜0.01μm位(10nm〜100nm) 
        プリオン    0.1μm以下

              



参考資料 


  『全ての病気は「口の中」から!』


  『マンガでわかる感染症のしくみ事典』


  絵でわかる感染症 with もやしもん (KS絵でわかるシリーズ)


  『病気がみえる vol.6  免疫・膠原病・感染症』  


  『感染症 ウイルス・細菌との闘い』  (別冊日経サイエンス238)



  『戸田新細菌学第34版』 南山堂 2013


 『標準微生物学 第14版 (Standard Textbook)』  医学書院 2021



「厚労省感染症情報」 厚労省







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